柏原竜二 かしわばら・りゅうじ●1989年、福島県生まれ。小学生時代はソフトボールに取り組むも、球技音痴のため中学から陸上を始める。いわき総合高校を経て東洋大学に進学。卒業後は富士通で競技生活を続ける。ツイッターが人気で7万人を超えるフォロワーがいる。
【愛読書】『GIANT KILLING』(ツジトモ著)『夜桜四重奏』(ヤスダスズヒト著)
【箱根のスタート前に聞く曲】ジェットロケット(LiSA)
【好きな食べ物】甘いもの。魚の煮物以外なら何でも
【苦手なこと】段取り

4年生はキャプテンとして過ごしたが、「キャプテンらしくないキャプテン」だったという。4年生のメンバーに役割分担してもらいつつ、まずは自分が練習に集中することを心がけた。

一番得たものは「人間観察力」。部員への目配りをしていると、ああ彼はこう思っているんだ、こういう行動パターンを取るんだ、ということがわかってくる。人間を知ることはまた、走ることにおいてもプラスに働いた。

ひそかに出雲、全日本、箱根の三大駅伝の制覇を狙っていた。出雲を勝って全日本へと向かう。柏原はアンカー。トップを行く駒澤大の選手を追い上げ、猛追した。最後の2、3キロはふらふらの状態で、意識をつなぎとめるのがやっとという状態だった。

「僕は自分を追い込んで力が出るタイプ。才能で走るランナーじゃない。でも、才能で劣るから勝てないという言葉では片付けたくない。だから絶望的なタイム差があってもどこまでももがいてやろうと思いますし、才能のある奴を打ち負かしたく思う」

限界領域での頑張りはまた、チームを率いるキャプテンとしての責任感でもあったろう。

そして迎えた箱根駅伝。下馬評は、東洋大は駒澤大、早大に次いで3番手だった。メンバー各自の5000、1万メートルの持ちタイムの合算では駒澤大が抜けている。ただし、時計の速さイコール強さではない。