4年生はキャプテンとして過ごしたが、「キャプテンらしくないキャプテン」だったという。4年生のメンバーに役割分担してもらいつつ、まずは自分が練習に集中することを心がけた。
一番得たものは「人間観察力」。部員への目配りをしていると、ああ彼はこう思っているんだ、こういう行動パターンを取るんだ、ということがわかってくる。人間を知ることはまた、走ることにおいてもプラスに働いた。
ひそかに出雲、全日本、箱根の三大駅伝の制覇を狙っていた。出雲を勝って全日本へと向かう。柏原はアンカー。トップを行く駒澤大の選手を追い上げ、猛追した。最後の2、3キロはふらふらの状態で、意識をつなぎとめるのがやっとという状態だった。
「僕は自分を追い込んで力が出るタイプ。才能で走るランナーじゃない。でも、才能で劣るから勝てないという言葉では片付けたくない。だから絶望的なタイム差があってもどこまでももがいてやろうと思いますし、才能のある奴を打ち負かしたく思う」
限界領域での頑張りはまた、チームを率いるキャプテンとしての責任感でもあったろう。
そして迎えた箱根駅伝。下馬評は、東洋大は駒澤大、早大に次いで3番手だった。メンバー各自の5000、1万メートルの持ちタイムの合算では駒澤大が抜けている。ただし、時計の速さイコール強さではない。