戦慄の40歳同期の年収分布、上は1500万、下は400万

ところが、すでに社内の給与格差が広がっている実態もある。IT関連企業の人事部長は「今では平均年収は何の意味もない。中央値で見ないと実態はわからない」と言う。

「40歳の同期入社の年収分布を見ると、最低が400万円、最高が部長職の1500万円。600万円以下が3分の1、600万~800万円が3分の1、残りは800万円以上と完全に分散している。すでに年齢による比較が無意味なほど給与の格差が広がっている」

ただし、格差が広がっているとしても年収600万円以上が3分の2もおり、最高額の社員は平均年収の2.5倍である。

プロ野球選手との単純な比較はできないが、巨人の日本人の最高年俸額は6億円が2人、4億円台1人、3億円台1人、2億円台1人、1億円台3人の計8人いる(プロ野球データFreak)。巨人選手の中央値2000万円の5~30倍になるが、一般企業で社内の同世代に、仮に10倍を超える社員がいたら何となく腹が立ってきそうな感じもしないではない。

実際に10倍を超えている企業もあるだろうが、実はプロ野球選手と違い、日本企業は社員の年収を公開していない。有価証券報告書には「平均年収」の記述があるが、前述した同期・同年齢、役職間の年収分布については自社の社員にも教えていない。

新聞の見出しに「格差」の文字
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大手ゲームソフト会社の元人事担当者はこう語る。

「役職に就いていないクリエイターでも年収3000万円、4000万円以上をもらっている人が少なくない。一方、若手の社員は年収300万~400万円程度。ゲームソフトの開発はチームで行うので、300万円の社員と4000万円の社員が一緒に仕事をしている。会社としてはもちろん給与を公開していないし、高年収の社員にもいくらもらっているのか口外しないようにと暗に言っている。もし、給与の実態を知ったら、あまりの格差に驚いて不満を抱くことになる。自分の年収が先輩の10分の1以下なんだとわかってしまうと、働く意欲に影響を与えるのが怖い」

クリエイターの年収には開発したゲームの売上高で決まる成果報酬も含まれている。したがって年収の増減も激しいという。

年収が低い社員が、高い社員の数字にはきちんとした裏打ちがあると理解しても、10倍の年収格差があるとモチベーションダウンするのではないかと人事部は気にしている。