同期会では「給与いくら?」と聞くことはもはやタブー

一般の企業でも同世代の給与は口コミでしか知ることができないが、例えば同期会などでは給与をいくらもらっているかを聞くことがタブー視さえされている。

同期の出世頭に年収を聞いてショックを受けたくないという防衛本能だという声もあるが、それだけ給与の格差を気にしているということだろう。

ジョブ型人事制度(職務給制度)を導入する目的は、前述した脱年功賃金と並んで、外部の優秀な中途人材の確保もある。制度導入で外資系企業のように年収2000万円、3000万円で雇ったとしても、これまで述べたような企業風土で他の社員もチームワークを保ちながら仕事ができるのだろうか。

ちなみに韓国のサムスン電子の国内従業員11万人の2021年の平均年収は1440万円に達したという。しかしこれもあくまで平均であり、給与格差は相当激しいはずだ。5年前に取材したときは1億円以上もらっている管理職も少なくない一方、一般の社員は平均500万~600万円ということだった。

ドル札が舞う中、両手を広げる若い実業家
写真=iStock.com/CreativaImages
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韓国企業は1997年の通貨危機以降、従来の日本式の年功序列賃金から成果主義に大きく舵を切った。当時のサムスン電子のオーナー会長の李健熙(イ・ゴンヒ)氏が言った「1人の天才が1万人を救う」という言葉に象徴されるように完全実力主義が貫かれ、今では定着しているのかもしれない。

今後訪れる給与格差拡大の時代に日本人は耐えられるだろうか。最低限必要な措置は、最低年収でも生活できる所得が保障されること、もう1つは成果の指標が明確で、人事評価と給与の納得性が得られることだろう。それでも格差が10倍を超えるとマイナスの効果しか得られないかもしれない。

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