日本では同期入社は長らく横並び賃金が標準だったが、1990年代後半から「成果主義賃金」が導入された。あるIT関連企業における40歳の同期入社の年収分布を見ると「最低400万円、最高1500万円。600万円以下が3分の1、600万~800万円が3分の1、残りは800万円以上」と完全に分散していた。ジャーナリストの溝上憲文さんは「もはや同期会で相手の給与額を聞くのはタブー視されている」という――。
革靴に見える格差の概念
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同じチーム内の格差が大きいと満足度が下がる

日本プロ野球選手会が今季の12球団の日本人選手の年俸調査結果を発表した。開幕時の選手の平均年俸は前年比3.3%増の4312万円と過去最高額となった。

会社員にとっては金額もさることながら、今年2%程度だった春闘の賃上げ率を上回る3%台もうらやましい限りだろう。

球団別の平均年俸額のトップ3はソフトバンクの7002万円、巨人の6632万円、楽天の6035万円。この3球団は昨年と同じ順位だ。4位の西武は4330万円で2000万円弱の差があり、最下位の日本ハムは2817万円と球団間で大きな格差がある。

また、成績で年俸が決まるプロ野球の世界は選手間の年俸格差が激しいことで知られ、もはや平均年俸は実態を表している数字とはいえない。

よく使われるのが集団の分布の中央にくる「中央値」だ。今年から中央値が出されているが、トップのソフトバンクは1800万円、巨人は2000万円、楽天は1150万円となっている。この金額の選手が比較的多く、いかに選手間の格差が大きいかを示している。

興味深かったのは、今年から公表された「契約更改満足度調査結果」だ。それによると平均年俸額2位の巨人の満足度(満足・大きく満足の合計)は23.68%で11位、3位の楽天も26.56%で10位と満足度が極めて低かった。

この結果について選手会の「球団間の格差もあるが、球団内の格差もかなりあると感じている。この調査結果からいろいろ変えていければ」とのコメントが報道されている。

もちろん平均年俸1位のソフトバンクは満足度も55.07%で1位という例外もあるが、巨人と楽天は満足していない選手が4人中3人以上もいることになる。

逆に平均年俸3077万円、中央値1800万円で格差が比較的小さいロッテは、満足度が41.07%(5位)と高い。つまり、球団内の年俸格差が大きいと選手の満足度が下がる傾向にあることを示唆しているように思われる。