ハウスメーカーの営業とはどんな仕事なのか。住宅会社で15年間営業として勤務した藤吉郎さんは「20代で年収1000万を稼ぐ人がいる。だが、家族との時間を犠牲にせざるを得ず、営業所の半数がバツイチということもざらにある」という――。

※本稿は、藤吉郎『注文住宅は担当者が9割』(文芸社)の一部を再編集したものです。

ミニチュアの家と契約書にサインする人
写真=iStock.com/venuestock
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ハウスメーカーの多くはブラック企業

聞いたことがあるかもしれませんが、住宅業界はブラックです。

もちろん会社によりますが、ブラックが多いです。新入社員を育てる教育制度がある会社は珍しく、大手ハウスメーカーぐらいのものです。

ほとんどの会社は営業所の所長、店長の人格次第です。

教育に興味がない店長であれば雑用に使われますし、運良く教育に興味がある店長の下についたとしても、一人前になるのは並の苦労ではありません。

私も新入社員の頃はダイレクトメールを何百枚と出したり、上司とのお酒に付き合って、その後、また22時くらいに会社に戻って夜中まで仕事したりしていました。

3人の上司の都合に振り回される日々

今でも忘れませんが、私が入社2年目にいた店舗では、「朝6時から仕事する朝型タイプの先輩」と、「夜中の3時まで残業する夜型タイプの先輩」と、「18時ピッタリに退社して毎日飲みに行く店長」の3人がいました。

朝型の先輩
「いいか? わからないことがあれば朝早く出社して俺に聞け」
「通常の業務時間中は邪魔だから質問しないように」
「新人だから朝早く来るのは当然じゃないか?」

夜型の先輩
「いいか? わからないことがあれば仕事の落ち着いた22時以降に聞け」
「通常の業務時間中は邪魔だから質問するな」
「まさか先輩より早く家に帰りたいとか言うなよ」

店長
「仕事を教えてほしい? その前に飲みに行くぞ!」
「仕事ばっかりじゃなくて、気分転換も大事だぞ!」