※本稿は、大塚寿『自分で考えて動く部下が育つすごい質問30』(青春新書インテリジェンス)の一部を再編集したものです。
無力感を学習すると「頑張ればうまくいく」とは思えなくなる
できる人ほどつい出ちゃう残念な言い方
「途中でほったらかすなんて無責任でしょ?」
⇒これでは「ほったらかし」にした根本原因がまったく解決されない
性格と言ってしまえばそれまでですが、世の中には最後の最後まであきらめない人と、困難に直面したり、難易度が高いと気づくや否やすぐにあきらめてしまう人がいます。
そこには本人の性格だけでなく、学生時代の部活や受験、就職してからの仕事での成功体験も大きく影響してくるものですが、もう少しだけ踏ん張れば成果につながったはずなのに、その手前であきらめてしまうという非常に「もったいない悪循環」を起こしている人も散見されます。
あきらめない部下とあきらめがちな部下は、とにかく個人差が激しいです。しかし上司や先輩の育成方法で好転させられることなので、ここではその言い方と意図について共有したいと思います。
あきらめがちな人の多くは、頑張ってもどうなるものでもない、このままやってもうまくいくとは思えないという無力感を学習してしまっている傾向があります。
ですから意図としては、その無力感に打ち勝つ「プラスの兆し」、つまりは「このままいけば、うまくいくかもしれない」「この方法、このプロセスでやれば十分できるはずだ」と思わせる必要があります。
その際は「やり方」や「方法」を変えることによって「あきらめる」という気持ちの目先を変えさせること。期限を切ればさらに効果的です。
「もう1週間」の一言で、モチベーションが上がる
かける言葉としては、
「もう1週間やってダメなら、あきらめるとして、それまで他の方法を試してみよう」
といった感じで。
これは「もう1週間」と期限を切られていることから、ゴールが明確になったことで「ゴールの見えないモヤモヤ感」が軽減され、一瞬モチベーションが上がります。
さらに、他の方法にそのエネルギーを傾けることによって、ほんの少しでも手応えが感じられれば、事態は好転に向かうはずです。
なぜなら、あきらめがちな人たちは、あきらめたくなる時に、心に強いストレスを感じています。あきらめてしまえばストレスから解放されるので、楽になりたいという衝動に駆られます。性格と言ってしまえばそれまでですが、これは自分の心を守るための防衛本能かもしれません。
しかし、あきらめてばかりでは、心に耐性もできませんし、社内や顧客からの信頼を得ることができないために、ビジネスパーソンの成長を阻害してしまう要因にもなります。