JR東日本が2021年8月から販売を始めた「車両撮影会」が、鉄道ファンから「神イベント」と評価されるなど人気を集めている。これまで車両公開は原則無料のイベントだったが、有料に切り替えたところ累計の売上高は5000万円を超えた。「完売続出」というヒット商品の裏側とは――。
JR東日本のECサイトにある変わったカテゴリー
新型コロナウイルスの感染拡大で、業績が大きく落ち込んだJR東日本グループ。2021年3月期の連結決算は最終損益が5779億円の赤字で、民営化後初の通期での赤字だった。2021年4月から12月までのグループ全体の最終的な損益は837億円の赤字で、今期も最終赤字が見込まれている。
そんな逆風の中にあって、売り上げを順調に伸ばし社員の士気を高めている商品が同社のECサイト「JRE MALL」にある。
「まだまだ模索中ですが、商品の売り上げは予想以上に伸びています」と話すのはJRE MALLの担当・飛鳥井啓さんだ。
JRE MALLは、JR東日本グループが運営する、ネット通販を行うショッピングモールだ。「生活家電」「日用雑貨・キッチン用品」などさまざまなカテゴリーがあり、約14万点の商品を取り扱っている。このモール内の「鉄道イベント・体験」というカテゴリーが好調なのだ。
中をのぞいてみると、「常磐快速線 E231系 デビュー20周年記念 撮影会&見学会」「ありがとう205系600代 撮影&検査体験in小山車両センター」(執筆当時)といった、どうにも一般受けしそうにないマニアックな商品が販売されている。値段は、安いもので2000円程度から数万円と決して安いわけではない。
ただ、商品のほとんどには「完売」の表記が並んでおり、人気のほどがうかがえる。
「このカテゴリーでは、さまざまな鉄道体験コンテンツを売っています。スタートしてまだ9カ月ですが、既に5000万円以上を売り上げています」(飛鳥井氏、以下同)
意外なヒット商品はどうやって生まれたのか。