副社長就任時、判子を押す以外に何をすればいいかわからず、毎日あらゆる本を読み耽るうちに本書に出会った。「時を告げるのではなく、時計をつくる」の一言に目から鱗が落ちた。創業者の宗次徳二特別顧問が時を告げる予言者だとすれば、そのバトンを受けた私の仕事は、予言者になることではない。予言者がいなくても困らぬよう、社内に“時計”の仕組みをつくること――そう考えたら楽になった。
時計づくりとは、場づくりだ。社員が主体的・能動的に働ける組織を心がけると同時に、創業者の思いを企業行動憲章とし、時代とともに文言を変えつつ活用している。社長就任からもうすぐ10年。“時計”は私抜きでも出来上がるに違いない。