配偶者の不倫を疑ったとき、どうすればいいのか。弁護士の森公任さんと森元みのりさんの共著『妻六法』(扶桑社)より、「不倫で慰謝料を勝ち取るポイント」について紹介しよう――。(第3回)
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写真=iStock.com/webphotographeer
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証拠になるのは「常識的に説明できない」状況

不倫で慰謝料を勝ち取るために、最も大切な要素は、「パートナーが貞操義務違反行為を行っている」とわかる決定的な証拠を確保することです。

メディアの影響で、「性行為中の写真や動画」、「ラブホテルから出てきたとわかる写真」など、決定的な証拠がないと不倫は立証しづらいと考えている方が多いのですが、実は裁判官の多くは、要は貞操義務に違反する行為が立証できればいいと考えています。

そのため、肉体関係があったことが明確にわかるような証拠でなくとも、不倫の証拠として認められることがあります。

たとえば、「会社の部下である女性と、公園で抱き合っている写真」や「街で腕を組んで歩いている写真」が証拠として提出された場合。

夫側は、「ただ、抱き合っていただけで、最後の一線は超えていない」と言っていたとしても、常識的に考えれば、いくら親しい職場の友人同士であったとしても、抱きあったり、腕を組んで歩いたりすることはありません。

このように、職場の同僚では説明できないような行為に及んでいた場合も貞操義務違反行為があったと認定されます。

よく、芸能人の不倫スクープなどで、ホテルなどにいっしょに出入りしている様子が写真に撮られることがあります。その際に、芸能人側は、「ただの友達同士で、たしかにホテルにはいっしょに入ったけれども、話をしていただけ。ホテル内で、性的な行為には及んでいないので、浮気ではない」などと弁解することがあります。

でも裁判では、こうした説明は通用しません。

常識的に考えて、「仲のよい異性の友達同士であっても、ホテルの同じ部屋で、わざわざ一晩いっしょに過ごすことはあり得ない」とみなされるからです。