※本稿は、村上茂久『決算書ナゾトキトレーニング 7つのストーリーで学ぶファイナンス入門』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。
ベンチャーの決算書は「利益」だけ見ても意味がない
【中村】宮田さん、ご無沙汰してます!
【宮田】おつかれさま。中村さん、転職を考えてるんですって?
【中村】ハイ! ちょっと思うところがあって……。
【宮田】今の職場がブラックという感じでしょうか。
【中村】そういうわけじゃないんですけど、なんていうか、今の仕事、やりがいが感じられなくて。宮田さんも知ってる山野っているじゃないですか。あいつ、ベンチャーに行ったんですけど、すっごい楽しそうに仕事してて。この前もtwitterに『10億円調達達成』とか書いてて。なんか、充実してそうだなと思ったら、僕はこのままでいいのかなって……。
【宮田】うんうん、その気持ちわかります。私もそうでした。
【中村】ハイ。僕もベンチャーへの転職活動を考えてみて、とりあえず知ってる企業の決算書から調べ始めたんです。それで、個人間プラットフォームでCtoCのビジネスをしているメルカリの業績を調べたら、228億円の赤字って出てきたんですよ(図表1)。上場もして、めっちゃ儲かってますって顔して、実は火の車っていう。業種にもよると思うんですけど、ベンチャーの実態ってそうなんですか?
僕も簿記はそれなりに勉強したんですけど、こういうのに詳しいのって、やっぱりスタートアップ企業のCFOとしてバリバリ働いてる宮田さんだと思って……。
【宮田】話はわかりました。ちなみに、中村さんはメルカリの決算書のどこを見たんですか?
【中村】え? どこって……、そりゃあ、利益ですよね。利益を出しているかが一番大事ですよ。その次は売上高かな。どれだけ売り上げているかも大切ですね。あとは、株価ですね。最近株価が上がっているかどうか見ました。
【宮田】確かに、フツーそうですね。でも、実は、全然見るべきポイントが違うんです。