株式市場が「美人コンテスト」に見立てられる理由
【宮田】楽天は日本で最も大きいEC企業ですからね。メルカリは日本でも有数のユニコーンとして上場をしましたが、その後も成長を続け、今や時価総額でも日本企業の中で上位に食い込んでいますね。
【中村】でも、9827億円って数字がデカすぎて、スゴさがよくわからないんですよね。
【宮田】日本における上場企業の数は4000社弱。その中でメルカリの時価総額の水準は150位前後。つまり、上場企業の中で上位4%に該当します。
【中村】それはスゴい! でも、赤字はずっと続いていますよね? なんでこんなにメルカリは評価されているのか、余計わからないんですけど……。
【宮田】株価はどうやって決まっているか、考えたことはありますか? 言い換えると、時価総額はどうやって決まるのかってことになります。
【中村】将来、儲かりそうな会社の株価は上がって、そうでない会社の株価は下がるとか?
【宮田】まさにその通りです! 株価は、売りたい人と買いたい人の需給で決まります。そのうえで、ファイナンス風に言うと「株価は企業が将来生み出すであろうキャッシュフローの予測によって決まる」ことになります。ここでいう予測とは、「市場の見立て」です。
【中村】見立て?
【宮田】そう。中村さんはランキングとか見ます?
【中村】あー、よく見てますね。人気YouTuberとか映画の興行収入ランキングとか。昔は、アイドルの人気を投票で決める選挙とか、気になってましたね。
【宮田】まさにそのランキングと同じことが株式市場でも起こっているのです。このことをジョン・メイナード・ケインズという経済学者は美人コンテストにたとえました。好きな芸能人でもなんでも、一位を当てる時、重要なことはなんだと思いますか?
【中村】それは、「目利き力」ですね。自分の「推し」が1位になると嬉しいじゃないですか。
【宮田】半分正解で半分間違いですね。目利きは大切ですが、推しを応援するのと、1位を当てるのは、意味が違いますよね。ケインズは美人コンテストについて「1位を当てるためには、自分がいいと思った人(推し)を選ぶのではなく、みんなが1位になると思う人を選ぶのが重要だ」と説きました。ここでは自分の好みは正直二の次で、みんなが美人だと思う人を選ぶことが大切になります。
【中村】そうか! メルカリの赤字が続いているからダメだと思ってたけど、株式市場では評価されている。すなわち、みんなはメルカリが将来キャッシュを生むと思っているってことですね。メルカリ、モテモテかよ~。(後編に続く)