フリマアプリ大手のメルカリは、2021年6月期連結決算で創業以来初の営業黒字となった。コンサルタントの村上茂久さんは「メルカリはその気になればいつでも黒字化できた。赤字を続けていたのは、広告宣伝費をかけてユーザーを増やすためで、いわば“戦略的な赤字”だった」という――。(後編/全2回)

※本稿は、村上茂久『決算書ナゾトキトレーニング 7つのストーリーで学ぶファイナンス入門』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

メルカリの入社説明会
写真=時事通信フォト
通年採用のメルカリが開いた入社説明会=2018年10月1日

本業が生んだキャッシュを示す「営業CF」

(前編から続く)

【中村】でも、ずっと赤字続きのメルカリの「何」を株式市場が評価しているのか、やっぱりわかりません。欠点もあるのになんで、あいつばっかりモテるのか……僻みみたいだけど、納得いかない。

【宮田】「赤字の質」をしっかりと見る必要があります。そこで、注目すべきなのがキャッシュフロー計算書(C/S)です。損益計算書(P/L)や貸借対照表(B/S)よりも影が薄いですが、ファイナンス的な視点では、ある意味でP/LやB/Sよりも重要です。

【中村】以前会計の本を読んで、C/Sを理解しようとしたのですが、直接法とか間接法(※)とかあって、正直よくわからなくて挫折したんですよね。

(※)直接法は、営業活動の入金と出金を取引内容ごと(売上による入金、仕入による支出など)に総額集計して表示する手法。そのため、直接法で表示されたC/Sは直感的に理解しやすいが、作成するためには帳簿の集計とは別の視点から別途集計しなければいけないため、手間がかかる。間接法は、利益をスタートラインにして、利益とキャッシュに差がある項目を加減算してキャッシュに合わせていく手法。基本的にP/LとB/Sから作成することができるため、直接法に比べて手間がかからず、実務では多くの会社が採用している。

【宮田】世の会計本では、C/Sの「作り方」から解説する傾向がありますが、実際に実務においてC/Sを「作る」立場の人はほぼいませんから、「見方」を覚える方が大事かもしれませんね。

【中村】それも、十分難しそうですよ。

【宮田】そんなことありません。C/Sは、営業活動に関するキャッシュフロー(営業CF)、投資活動に関するキャッシュフロー(投資CF)、そして財務活動に関するキャッシュフロー(財務CF)の3つから構成されていて、次の図表1にある営業CF・投資CF・財務CFの3種類に、それぞれプラスマイナスの2種類をかけ合わせた「3×2」の見方だけ覚えれば大丈夫です。

特に、営業CFに注目してください。これは、営業活動から生まれるキャッシュフローのことで、簡単に言うと本業を通じてどれだけキャッシュが生まれたかを示しています。