メルカリ単体では経常利益は黒字
【中村】それにしてもメルカリはいつになったら黒字になるんですか?
【宮田】もっともな指摘です。というか、メルカリは2021年6月期についに黒字化しました。営業利益で52億円、当期純利益で約57億円の黒字です。
【中村】え!? そうだったんですか。
【宮田】そうなんです。2020年6月期において、確かにメルカリは赤字でした。でも、それは「連結での話」です。
【中村】確か子会社や連結子会社とかも、P/LやB/Sに含めるってことですよね。
【宮田】メルカリの決算と言っても、それは連結のもので、具体的にはメルカリは子会社を合わせてP/LやB/Sを出しています。メルカリ単体での業績では、2020年6月期で営業利益は約117億円、経常利益は約116億円の黒字です(※)。
(※)ただし、関係会社株式評価損等で371億円の損失を計上しているため、単体での税引前利益は、256億円の損失となっている。
【中村】2020年6月期でも、メルカリ単体では経常利益までは黒字なんですね!
【宮田】そうです。実際、メルカリの決算説明資料でも、メルペイの業績を調整した「調整後営業利益」を表示しています。なお、2020年6月期のメルカリの調整後営業利益は185億円となっています。つまり、連結では赤字なものの、メルカリ単体では経常利益は黒字になっていて、キャッシュを十分に生み出せる事業を持っているのです。
メルカリは「攻めの赤字」だった
【宮田】さらに、メルカリの場合は損益の質も大事ですね。
【中村】損益に質ってあるんですか?
【宮田】連結でのメルカリの売上高に占める広告宣伝費の割合は45%。数字でいうと343億円(2020年6月期)に達します。
【中村】そんなに広告宣伝費をかけているんですか!
【宮田】メルカリのGMVは伸びているというのは先程説明しましたね。なぜこれほど増えているかというと、継続的に広告宣伝費をかけてユーザーを増やしているからなんです。メルカリは全体では赤字ですが、めちゃくちゃ攻めの赤字だったんです。
【中村】メルカリって連結で見ても当期純損失が228億円。広告宣伝費が343億円ってことは、極論を言うと広告宣伝費を減らせばすぐに黒字にできるんですね。
【宮田】その通りです。これがメルカリの強さです。メルカリは連結でも黒字にしようと思えばいつでもできたのです。でも、広告宣伝費を通じて、新規顧客を獲得して、GMVを上げた方がトータルでリターンが高いという経営判断をしたんですね。