コロナ禍は「価値を高める絶好の機会」
消費者がビール1本だけ頼んでも採算割れしないのは、同じ配達インフラを使って料飲店にもお酒を届けているからだった。カクヤスはこのビジネスモデルで成長を続け、18年には売上高1100億円(18年3月期)に達して、2019年12月には東証二部に上場を果たしている。
ところがコロナ禍で、業務用が壊滅的な状況になった。業務用の売り上げはコロナ前と比べて約3分の1だ。家飲み需要が高まって一般家庭用の売り上げは逆に約2割増えたものの、業務用の落ち込みはカバーしきれていない。
採算性を高めるため、今後、「ビール1本はダメ、6本パックから」というように条件をつけていく可能性はあるのか。そのように問うと、佐藤社長は力強くこう答えてくれた。
「家庭用の即日宅配モデルは、他社の追随を許さないレベルのものを構築できました。業務用に頼れないいまこそ、このモデルをさらに磨いて価値を高める絶好の機会です。ぜひ期待してもらいたいですね」