コロナ禍で食料品以外の配達アイテムを増やし始めた
東京や大阪の都市部では、「なんでも酒やカクヤス」と書かれたピンクの荷車のついた電動自転車をよく見かける。
株式会社カクヤスグループ(本社・東京都北区)は東証二部上場で、お酒の小売業・卸売業を展開。首都圏で169店舗(2021年3月末、倉庫含む)の店舗網を持ち、店舗から半径1.2キロ範囲の配達アリアなら「どこでも」「ビール1本から」「最短1時間から」「無料で」配達してくれる。一方通行や駐車禁止の多い都市部において、自転車は最強の配達モビリティというわけだ。
実は今、カクヤスが配達アイテムの種類をグッと増やしている。
6月からペット用品の即日配送をスタート。9月にはサプリメントの即日配送を増やして、栄養ドリンクのラインナップを強化した。さらに、9月から冷凍食品のテスト配送も始めている。
コロナで業務用の酒需要が激減
なぜいま配達アイテムを拡充しているのか。
背景にあるのはコロナ禍だ。ここで、カクヤスの即日配達モデルについて簡単に解説しておこう。カクヤスは自社配送で、1時間から配達できる体制の構築・維持には当然コストがかかる。一般的な無料配送モデルは買い物金額の条件をつけて単価を上げることでコストを回収するが、カクヤスはビール1本から無料配達が可能で、そう簡単に配達コストを回収できない。
採算性の低さをカバーしているのが、料飲店などの業務用の即日配送サービスだ。カクヤスの場合、一般家庭の1回の単価は平均4500円だという。業務用は1回ごとの単価を公表していないため直接比べられないが、1カ月の平均売上額は1店舗当たり10万円。業務用も一般家庭用と同じく買い物金額の条件は設定していないが、縛りがなくても大量に購入して全体の客単価を引き上げている。
売り上げのバランスでいうと、業務用が7割で、一般家庭用が3割。カクヤスの即日配送モデルは、業務用があってこそ成り立つモデルだった。