コンビニに対抗し23区内に大量出店

1998年に無料配達を実現したものの、当時はいまのように最短1時間で届ける体制になっていなかった。月曜の午前中の注文から当日午後、月曜午後なら翌日。未配達がたまってくる週後半に入ると2日後というスケジュールだった。

スピード化のきっかけは、2003年の酒販免許自由化だ。規制緩和されるとスーパーやコンビニでもお酒の販売が可能になり、ディカウントショップは大打撃を受ける。それを見越していた佐藤社長は、異業種大手が参入してくる前にブランドを確立しようと、「東京23区ならどこでも2時間で無料配達」という目標を掲げた。

「東京23区の面積を商圏半径1.2キロで割ると137店です。1999年時点で28店のチェーンになっていましたが、23区をカバーするなら、さらに100店舗以上を出店する必要があります。1年で100店舗出す体力はないので、規制緩和まで4年かけて出店した。2003年には100店舗を達成して、東京23区内全域での2時間枠無料配達網を完成させました」

3分の2の店舗が赤字で「このままなら潰れますよ」

その後も出店を増やして無料配達エリアを順次拡大して、2012年には1時間枠での配達を開始している。こうして酒飲みにはありがたい配達サービスをつくりあげたカクヤスだが、実は「一般家庭用の配達だけで採算を取るのは難しい」と佐藤社長はこぼす。

「一般宅配で客単価5500円なら、なんとか黒字になります。いまの価格設定は『値ごろ感は上っ面』。地域最安値をうたっていたディスカウントショップ時代と比べると利益を乗せているので、5500円でも採算が合うのです。ただ、それを下回ると厳しい。配達網を完成させた03年時点で、100店舗中67店が赤字でした。銀行の支店長から、『このままなら潰れますよ』と怒られたくらいです」