ポイント投資はいくらやっても投資の勉強にならない

「いや、ポイント投資は投資の勉強をするためにやるのだ」という人もいるかもしれません。ところがポイント投資はいくらやっても投資の勉強にはなりません。この理由は投資の本質的な部分を考えてみるとわかります。そもそも投資というのは自分が一生懸命働いて稼いだお金を投入しますが、自分には何の責任もない、あるいは自分でコントロールできない理由でそのお金が増えたり減ったりする、それが投資というものです。

短期的な株価の動きは誰も的確に読めるわけではありませんから、訳がわからないうちに下がって損をしてしまうこともあり得ます。言い換えると投資というのは理不尽なものなのです。でも、そういう体験を重ねることで投資の持っている本質に触れることができますし、短期的な値動きに一喜一憂することにはあまり意味がないことを理解できるようになります。

ところがポイント投資の場合、自分のお金を直接投資するわけではありません。言わばおまけで付いたポイントを使って投資するわけですから、多少は上がり下がりに伴う喜びや悔しさはあるものの、働いて稼いだ自分のお金を投入することで体験できる感情とはかなりかけ離れたものになるでしょう。しょせんはおまけ投資ですから、ゲーム感覚で遊びとしてやるならともかく、ちゃんと投資の勉強をしようということであればポイント投資は恐らく何の役にも立たないでしょう。これは金額の多寡ではありません。いくら少額でも自分で稼いだお金を投資するのであれば良いですが、おまけであるポイントは投資などには使わず、消費に使ってしまった方が良いと私は考えます。

お任せ投資がダメな理由

次に最近急速に増えてきているロボアドバイザーや○○ナビといった類いのサービスですが、これも私は利用すべきではないと思っています。投資をやったことがない人からすると「投資をやってみたいという気持ちはあるけどよくわからないし、面倒なことを勉強するのは嫌だ」という気持ちがあるのでしょう。だから「誰でも簡単におまかせ」というサービスがあるとついそちらの方向に行ってしまうのだと思います。

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でも投資を甘く考えてはいけません。「普通の人が普通にやればできる」とか「長期・積み立て・分散さえしていれば大丈夫」と安易に考えるのは禁物です。投資というのはある意味、とても知的な仕事です。よく「投資で儲かったお金は不労所得だ」という人がいますが、これはとんでもない勘違いです。確かに投資は、額に汗して働くことではありませんが、言わば『“脳”に汗して働くこと』なのです。

本当にきちんと投資しようと思ったら、株式投資の場合は個別の企業の財務諸表が読める程度の勉強はしなければなりません。投資信託についても、自分が購入しようと思っている投資信託について①運用のスタイル、②株式や債券の価格変動メカニズム、③自分が負担するコストの種類と水準、④評価基準、⑤交付目論見書の内容確認、といった事柄については少なくとも自分で理解し、判断して買うべきなのです。「AIにおまかせ」などという文言につられて投資すべきではありません。