相手の上司度にもよりますが、礼儀はわきまえつつちょっと砕けた冗談を織り交ぜるのが私流かな。たとえば以前、ある番組でインタビューをしてくださったスタッフの方と、ドラマの収録現場でばったりお会いしたときのことです。

「今度はコメントだけじゃなく、ドラマにも呼んでくださいね（笑）」

そんなふうにお話ししました。

目上の方だからといってずっと気をつかいっ放しだと、いつまでも距離が縮まらないと思うんですよ。なので、私は自分らしさも出して「少し生意気だけど可愛いやつ」と思われる人でいたいなと。そう考えています。

最初からこんなふうに人と接していたわけではありません。昔は人見知りで、偉い人とせっかく2人になっても「面倒くさい……」って考えていました。挨拶さえしておけば、別に親しくならなくてもいいだろうって。

でも、仕事をしているうちに、だんだんそれは違うって気づきました。

たとえば収録の休憩中のたまり場で「この前いただいたお菓子、とても美味しかったです」って言ったとしますよね。それは何でもない一言かもしれませんが、ちょっとだけでもみんなの気分がよくなるし、それが少しずつ積み重なると人との距離感が全然違ってくるんです。

ちょっと怖いな、と思っていた人でも、何気ない一言から距離が縮まることもあります。

たとえば、お笑いコンビ・くりぃむしちゅーの有田哲平さん。以前、くりぃむしちゅーさんの楽屋へご挨拶に伺ったとき、マネジャーをされていた方が偶然、別の仕事でお会いしたことがある方だったんです。それで私としてはいつものように、マネジャーさんへ以前ご一緒したときの感想をお話ししました。

すると後で有田さんが「あいつ、『マネジャーの自分にまで話をしてくれて嬉しかった』って言ってたよ」とおっしゃってくださったんです。私もすごく嬉しくて、それがきっかけで有田さんと軽口を言い合えるような関係になりました。

人と前向きに、誠実にと心がけて接していると、いいことがあるんだなって実感しましたね。

（宮内 健＝構成　尾関裕士＝撮影）