「私的な用事」ではなくあえて理由も書こう

「聞いていない」「知らなかった」から批判的に見られてしまう<br><strong>宣伝会議編集室長 田中里沙</strong>●学習院大学卒業後、広告会社を経て1993年宣伝会議に入社。96年「宣伝会議」編集長。2007年より現職。
「聞いていない」「知らなかった」から批判的に見られてしまう
宣伝会議編集室長 田中里沙●学習院大学卒業後、広告会社を経て1993年宣伝会議に入社。96年「宣伝会議」編集長。2007年より現職。

周囲から顰蹙を買うことなく繁忙期に有休を取るには、「計画性」と「コミュニケーション」の2つがポイント。

まず「計画性」ですが、私が現場で編集の仕事をしていたころは、やるべきことを片付けてからまとまった休みを取って、海外旅行に行くという生活をしていました。管理職となったいまも、部下に対しては「やるべきことをやったのなら、どんどん休めばいい」という考え方です。わが社では、若いときに海外へ行って見聞を広めるのはいいことだとして、「成田(など国際空港)を飛び立ったら1万円支給」という制度もできました。

お店のスタッフのように、何時から何時まで必ずその場にいなければならない仕事は別ですが、やるべきことをすませたのなら、無理に会社にいる必要はありません。それなのに「残業が多い=がんばっている」とみなされるとか、まわりが休まないから自分も休めないというような風潮は極めてナンセンス。

大事なのは働いた時間の長さではなく、仕事の生産性です。本来なら、会社側が一人ひとりの仕事を明確にしておく必要があります。そうすれば社員ももっと休みやすくなり、ワークライフバランスの取れた生活を送れるはずです。

次に、日ごろの「コミュニケーション」も大切です。有給休暇申請書の理由の欄には、「私的な用事により」としか書かない人がほとんどでしょう。しかし、ここはあえて理由を伝えたほうが、お互い気持ちよく休暇を取れます。文書にして会社に届け出なくても、直属の上司には口頭で理由を伝えておくといいのではないでしょうか。