多様性ある混血組織は、優れた価値を生む

年長者として敬いつつ、他の部下と同じように公平に接する<br><strong>オリックス取締役兼代表執行役社長 梁瀬行雄</strong>●あさひ銀行頭取(現りそな銀行)を経て、2003年オリックス入社。08年より現職。
年長者として敬いつつ、他の部下と同じように公平に接する
オリックス取締役兼代表執行役社長 梁瀬行雄●あさひ銀行頭取(現りそな銀行)を経て、2003年オリックス入社。08年より現職。

オリックスで盛んに言われる言葉がある。「混血は美人をつくる」、つまり多種多様な要素が組み合わさると、そこに優れた価値が生まれるというものだ。

当社では、以前より中途採用を積極的に行っており、おもに60歳以上の中高年を対象にした採用枠も設けている。そのため社内はさまざまな経歴と年齢の社員が入り交じっている。もちろん性別や国籍で何かを区別するということもない。

組織がこうした多様性に富むものであれば、元上司が部下になって戻ってきたからといって臆することはないだろう。自分が上司としての心構えを新たにし、部下に分け隔てなく接して職責をきちんと果たしていけばいいだけの話だ。

そうはいっても、長らく年功序列制だった組織の中で、元上司が部下になって戻ってくることが、若い上司にとって難しい問題であることはよくわかる。ましてその元上司が苦手なタイプであったり、不遜な態度を取ることが予想されるならなおさらだ。

しかし、元上司の言動が周囲に悪影響を及ぼすものでなければ、気に病むことはない。年長者への尊敬の念を持ち、プロとして尊重しながら、時間をかけて丁寧に対話を続けていくことが、よい人間関係を築くことにつながるはずだ。

また、会社側も退職者を再雇用するにあたっては、本人の専門性が発揮できる人事を行うなどの配慮が必要だろう。当社ではおもに60歳以上の人材を、営業推進役、または業務推進役として採用している。例えば営業推進役ならば、それまでに培ってきた豊富な知識と人脈を大いに活用いただき、優良顧客の開拓に尽力していただいている。