「知った人間は不幸になる」という根本原理

秘密を喋りたくなった日ほど、まっすぐ帰って猫に話せ!<br><strong>元首席総理秘書官 飯島 勲</strong>●長野県生まれ。小泉元首相の議員秘書を務めた。現松本歯科大学特任教授、駒沢女子大学客員教授。
秘密を喋りたくなった日ほど、まっすぐ帰って猫に話せ!
元首席総理秘書官 飯島 勲●長野県生まれ。小泉元首相の議員秘書を務めた。現松本歯科大学特任教授、駒沢女子大学客員教授。

サラリーマンには昔から、日光東照宮の猿の彫刻のように「見ザル・言わザル・聞かザル」で生きろという金言がありました。最近はむしろ情報に精通し、ちゃんと主張するタイプでないと出世しない世の中になってはいますが、こと秘密に関しては別。やはり昔のまま「猿」から「言葉を持った人間」に進化しないほうが安全です。

とくに、上司の秘密には「知った人間は不幸になる」という根本原理があります。仕事上の小さな不正行為や私生活における醜聞。それらを知ってトクすることは、まずありません。

なぜなら、上司のほうにしてみれば、「俺の恥部や弱点を知ったヤツは、なるべく抹殺してしまいたい」と考えるのが普通だからです。秘密を知った人間を味方として抱き込んでも、完全解決にはなりません。だから、できれば存在を消したい。上司が出世競争の本流に乗っているような、力のある人間であればあるほど、秘密を知った部下は潰される危険が高くなるでしょう。

過重な仕事を与えられたりリストラのターゲットにされたりして、職場を去る方向に追い詰められる。つまり、生活を脅かされ、何のトクにもなりません。

だからといって、上司のライバルに情報を売るのも難しいもの。どっちが勝ち馬か慎重に見極めないと結局自分の立場が危うくなりますし、ライバル派閥にも心の底からは信頼されないでしょう。

では、知ってしまったあなたは、どうすればいいのか。それは……秘密を知ったということを、上司に悟られないことです。そのためには、どうすべきか。私なら「財布の紐を締めろ」と忠告します。