2021年の東京オリンピックで聖火ランナーを務めた、108歳の現役理容師・箱石シツイさん。健康維持の秘訣は「1日1000歩の散歩と毎朝欠かさない自己流の体操にある」という。70歳を超えてから35年以上続けている体操とは──。

※本稿は、箱石シツイ『108歳の現役理容師おばあちゃん ごきげん暮らしの知恵袋』(宝島社)の一部を再編集したものです。

朝の運動、健康で自信に満ちたアジア人シニア女性
写真=iStock.com/Arder_Ho
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どこか人ごとだった東京オリンピック

2021年の東京オリンピック。招致決定は新聞で読んで知ってはいましたけれど、なんというか、どこか人ごとのような感じでしたね。わたしの住んでいる町にはなんの影響もありませんけど、東京とか、会場となるようなところには「世界じゅうから人が来てにぎやかになるんだろうなあ」くらいの、そんな感じでしたね。

それからしばらくした頃、オリンピックには「聖火リレー」というものがあって、そのリレーが全国を回る途中で、栃木県の那須烏山市を通るらしいと知りました。それも新聞で見たか、誰かに聞いたのか、どっちだったでしょうか。那須烏山市はわたしが住む町の隣町です。有名なお祭りもあって、子どもの頃からなじみがあるところです。

それでオリンピックも少し身近なこととして受け止めるようにはなりました。けれども特別関心があったわけでもないですから、いつの間にか忘れていました。

突然「聖火ランナー」を勧められた

あれは、当初オリンピックが予定されていた前の年、2019年の8月だったでしょうか。町の職員さんが2人で、突然、うちを訪ねてみえたんです。そして「箱石さん、聖火ランナーに応募してみませんか? 今日はそのお願いに来ました」とおっしゃるんですよ。

しばらくは、いったい何のことなのか吞み込めませんでした。そうしたら詳しく説明してくださって。それでわたしの中でやっとつながりました。忘れていましたけど、以前に聞いていた那須烏山市を通る聖火リレーで走る人を公募するらしい。そこに応募した人の中から走る人が選ばれる、と。選ばれるかどうかわからないけれど応募してみませんか、そういうことだったんですね。

「えー、このわたしがですか」って。もう、ただただびっくりしました。驚きで頭がいっぱいになってしまって、うまく言葉が出ないほどでした。考えたこともない、夢にも思わないことです。オリンピック、世界的なスポーツのお祭りとでもいうんでしょうか。そこに関係するなんて、一世一代の大変なことですよね。