部下に「もっと大きな声で電話をしろ」と言ってみましょう<br><strong>西日本高速道路会長兼CEO 石田 孝</strong>●1966年、神戸製鋼所入社。コベルコクレーン社長、コベルコ建機会長等を経て現職。
部下に「もっと大きな声で電話をしろ」と言ってみましょう
西日本高速道路会長兼CEO 石田 孝●1966年、神戸製鋼所入社。コベルコクレーン社長、コベルコ建機会長等を経て現職。

旧日本道路公団を民営化してできた特殊会社のトップという現在の私の立場からすれば、そういう意欲のある部下が欲しいぐらいですよ、残念ながらね(笑)。

私が前の会社(神戸製鋼グループ)にいたときも、やっぱり自分を飛ばして上の人に何かレポートしたり、相談したりする人はいました。それは、あまりいいことじゃないけど、別にけしからんとは思わなかったですね。

その最大の理由は、会社の仕事をするうえで、自分が部下から絶対事前に聞いておかなければならない情報は、100情報があったら、そのうちの1つか2つだからです。その上司に相談すべき内容を、感度よく見極めていける部下に仕立てておけるかどうかが大事なんです。

「これは重要な情報だから、石田さんに相談しておかねばダメだ」という判断が、きっちりできるかどうか。

そうしたら、直属の上司である私は、重要な情報であれば、こういう角度からもものを見たらどうだ、あるいはこういう考え方もあるというようにアドバイスができる。それが、必要な相談もなかったら、残念だなと思いますよ。でも、100ある情報のうち98は、私の意見を聞かなくても関係ない報告事項だから、直接上に持っていってもいいんです。

前の会社でも、私よりさらに年配の人が、俺は聞いてなかったと部下に怒っていたケースがありましたが、私はその人に、もし聞いていたら、何か事態は変わっていましたか。あるいは、部下に対していいアドバイスができましたかと言いました。問題は、上司は部下に適切なアドバイスができるか否かなんです。