埼玉県さいたま市といえば、“埼玉都民”が多く住み、平日の日中は不在の家が目立ち、セールス担当者泣かせの街でもある。ましてや自動車販売は、不況の影響で、以前とは比べものにならないくらいに売れ行きが落ちており、ダブルパンチだ。

塚田眞一●1977年、埼玉県生まれ。98年に東京法科学院専門学校卒業後、フォード新埼玉入社。2003年に埼玉スバルに移り、ボルボ・カーズ浦和に勤務。趣味は川釣りとドライブ。
塚田眞一●1977年、埼玉県生まれ。98年に東京法科学院専門学校卒業後、フォード新埼玉入社。2003年に埼玉スバルに移り、ボルボ・カーズ浦和に勤務。趣味は川釣りとドライブ。

JR北浦和駅から車で5分。国道17号線沿いに、ボルボを販売する輸入車ディーラー、ボルボ・カーズ浦和がある。セールス担当の塚田眞一氏も同じ悩みを抱えている。

「平日は、マンションや一戸建てを訪問しても不在がほとんどで、名刺やチラシをポストに入れてくるだけの営業になってしまいます。効率を高めるために顔写真入りのチラシをつくったりするのですが、効果はいま一つといった感じです」

加えて、週末に店に車を見にくる新規の客も減っている。そこで、点検や車検などの整備を依頼しにくる既存客に対して、新車を紹介し、試乗や見積もりを勧めたりすることに力を入れているという。

また、担当する顧客リストから、週末の2日間で最低10件のアポイントを取ることにも取り組んでいる。しかし、成約にまで持ち込むのが難しくなっているという。

塚田氏は昨年17台の新車を販売した。トップは約30台を売った。営業成績は中の上といったところか。とはいえ、店長の佐藤光一氏によれば「店では一番お客様に好かれているし、無理な値引きもせず、堅実なセールスをしている」そうだ。

それならば、もっと多くの商談を進められるのではないかと思うが、残念ながら、なかなか結果に結びつかない。

「辛口な評価をすれば、押しが弱い。お客様に嫌われるかどうか微妙な部分でもありますが、もう少し押しが強くなればいいと思っています」(佐藤氏)

仕事の計画を立て、セールスもきちんとこなす。お客からも好かれているのに、成約に結びつかないのは押しの弱さが影響している。塚田氏自身も、自らをこう分析する。

「今お金がないからとか、もう一回車検を通してからなどといわれると、それで納得してしまうことがあります。もっと強くお勧めすれば売れたかもしれない。しかし、お客様に嫌われたくない。そんな気持ちがどこかにあるのだと思います」