電気自動車も自動運転もいいけど、やっぱり

【野地】電気自動車とか自動運転になって、横山さんのクルマへの愛は変わるんですか。

【横山】手を離しても走れるとか、別の乗り物として見る分には、それはそれで面白いと思うんですけど、やはりブオン! と響くエンジンの音とか、そういう官能の世界がなくなるのはちょっとさみしいというか。

【野地】電気自動車は空吹かしもないし。

【横山】そうなんですよね。まあ、これからの世代の人はそれが当たり前になっていくわけですよね。僕はいまだにガラケーなんですけども、あ、スマホが嫌いとかじゃなくて移行できないだけなんですけど、そんな感じの断絶は起きるのかなあというのは思いますけどね。

フォーミュラEという電気自動車のレースを見てても何か面白くないんですよ。無音でシャー、シャー、ヒューッてモーターの音はするんだけど。まあ違う見方で見りゃ面白いのかもしれないけど、ちょっとまた別モノですね。

【野地】ガソリンのレースカーがスタートするときは、動物が吠えてるみたいですもんね。

【横山】そうなんですよね。まあタイヤは消費するし、ガソリンも消費するし、そんなに吹かさなくてもいいって言われちゃう時代なんでしょうけど。

あのル・マンは泣きました

【野地】これまでは排気量で車の大きさってイメージできたけど、EVになったらどうなるんですかね。モーターが大きい、小さいなんですかね。

【横山】ねえ。あとどのぐらい充電できるかによってグレードが変わるとか。テスラとかそうですよね。

でもね、2018年のル・マンのワンツーフィニッシュ、トヨタがやり遂げたじゃないですか。その前にすごいショッキングな、あともうちょっとというところで最後の最後にリタイアしてすっごい悔しかったから、僕も含め、みんな泣きましたよ、あのル・マンは。勝利のエンジン音、やっぱり最高です。

【野地】そのガズーレーシングを率いているのが、トヨタのエクゼクティブ・フェローの友山茂樹さん。この本にも登場いただいていますが、この人が1日中でもクルマに乗っていられる人で、この間は動画が送られてきて、「ドリフト走行をし続けて、後ろのタイヤを潰した」って。経営幹部が自ら、タイヤがバーストするまで1日中クルマを乗り回しているという(笑)。