最新の「ジェンダーギャップ指数」によれば日本の男女不平等ランキングは156カ国中120位。統計データ分析家の本川裕氏は「マスコミは女性がひどく差別される国=日本という論調ですが、国連の『ジェンダー不平等指数』では162カ国中24位で、米英などより順位は上でした。また、日本の男性より女性のほうが一貫して幸福度が高いという調査もあります」と指摘する――。

「日本はひどく女性が差別される国」は正しいのか

日本の男女不平等ランキングは、156カ国中120位……。

3月31日、スイスのシンクタンク「世界経済フォーラム」が作成した「ジェンダーギャップ指数」の最新データが公表された。「経済」「教育」「政治参加」といった分野での男女格差を指数化したものだ。日本の男女不平等の総合ランキングが156カ国中120位で、突出した男性優位社会(女性差別社会)という結果をマスコミ各社は大きく取り上げ、社説のテーマにした新聞もあった。

ただ、統計を専門とする私としては、奇妙に感じることがある。それは国連の専門機関の一つである国連開発計画(UNDP)が毎年刊行する人間開発報告書で作成されている「ジェンダー不平等指数」の結果はあまり報じられないのに、この世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」は公表されるたびに必ず報道され、話題となることだ。

これは「ジェンダーギャップ指数」のほうが日本の男女平等度のランキングがずっと低く(女性差別社会)、その分、目立っていて取り上げやすいからだろう。

「ジェンダーギャップ指数」の2021年報告書における順位は上述のように156カ国中120位であり、前回2019年報告書の121位(153カ国中)に引き続き、非常に低い順位だった。

ところが、国連開発計画「人間開発報告書」の2020年版における「ジェンダー不平等指数」では24位(162カ国中)となっており、女性差別社会とは言えない結果になっている。

図表1は、G7諸国における両指数の順位を比較したものだ。「ジェンダーギャップ指数」では最下位の日本も「ジェンダー不平等指数」では5位と英国と米国を上回っている。日本以外のG7諸国の順位も両方でばらばらである。日本だけでなく参考に掲げた韓国も「ジェンダーギャップ指数」では世界順位100位以下とランキングが低い点が目立っている。