教育費負担はますます大きくなり、少子化の要因に
教育費の高さは悩ましいが、それでも少しでも良い教育を子どもに受けさせたいというのが親心であるのも確かである。では、どの地域が最も教育熱心か、統計データ上の家計に占める教育費の割合の地域差について探ってみよう。
地域分布を見ていく前に、まず、その準備として、家計に占める教育費(※)負担がどの程度かに関するデータを示しておこう。
※教育費:学校の授業料のほか、塾などの補習教育費、教科書・教材代(統計上、教育費に含まれないもの:制服・かばん代、学習机、通学定期代、国内遊学のための仕送り金など。ピアノの先生などへの習い事代は教養娯楽費に分類される)
子どもをもつ親にとっての教育費負担はますます大きくなっており、これが少子化の要因として決定的となっているといわれるが本当なのだろうか?
教育費にどれだけのお金を使っているかについては、家計調査で調べられている。2020年の結果の概略を示した表を図表1に掲げた。
二人以上の世帯が年間に消費する平均額は333万5000円であるが、そのうち3.7%にあたる12万4000円が教育に投じられている。教育費の中では大学の授業料等が4万2000円ともっとも多い。
統計上、教育費にはカウントされないが、実は、都会の大学に通わせるための仕送り金が、結構、大きい。世帯平均では、これが4万5000円(年間支出に占める割合:1.3%)を占めている。これは狭義の教育費の3分の1以上にのぼっているのである。
ところで、上記の数字は「二人以上の世帯」を対象にしたものである。この中にはすでに子どもが独り立ちした高齢者世帯も多く含まれている。高齢化が進んだ現在では世帯主の年齢が65歳以上の世帯が44%もあり教育費の平均額を低めている。
そこで、世帯主の年齢が「65歳未満の世帯」の平均額を集計してみると、教育費は21万6000円であり、全体の消費支出の5.9%と年齢計の3.7%を大きく上回る。これは携帯電話代などの通信費の5.3%を上回っている。