2度目の緊急事態宣言で雇用環境はどうなってしまうのだろうか。統計データ分析家の本川裕氏は「2020年9月までに、新型コロナウイルス感染拡大によって労働環境は大きく変化しました。とりわけ目立つのは非正規雇用者の減少。宿泊、飲食、娯楽の業種に勤めるパート・バイトなどの女性の多くが失職しています」という――。

コロナの感染拡大への不安にだんだん慣れてしまった日本人

昨年、2020年は新型コロナウイルス感染症の流行によってさまざまな面で大きな影響を被った一年であった。今回は、今後を冷静に展望するための準備作業として、感染不安、経済、家計、仕事、雇用などの主要データから昨年の状況の推移を客観的に振り返ってみたい。

まず、ベースとなる感染状況の推移と感染への不安感情の推移を押さえておこう(図表1参照)。

新型コロナの感染拡大が3波にわたってだんだん規模を大きくしながら日本列島を襲ってきたことが半月ごとの感染者数の推移から明らかである。

12月に入って過去最大の感染拡大の波が襲ってきており、1月2日の首都圏1都3県の知事要請を受け、昨年4~5月に続いて2回目の緊急事態宣言の発出が政府において準備されている。

NHK調査によって、自らや家族が感染する不安の程度について、毎月の推移を追ってみると、感染拡大の波に対応して上下する中で、ピークの値は、第1波のときは77.5%、第2波のときは77.3%、そして第3波は73.5%とわずかながら低下してきていることがわかる(月半ばに明らかとなる今年1月の結果も見ないと確定的なことは言えないが)。

不安の「安定化」が感染爆発と2度目の緊急事態宣言の背景にある

正体不明の新型ウイルスという不気味さがただよっていた第1波から時間が経ち、被害の程度もおおむね推測可能となっているため、そうやすやすと強化できない医療体制にとってのリスクが感染者数規模の拡大により確実に高まっているにもかかわらず、国民の不安度は以前より高じている訳ではないのである。

こうした不安度のいわば「安定化」が実はかえって感染拡大がなかなか止まらない要因となっていることは言うまでもあるまい。政府や自治体の対策も国民の不安度に対応して、その厳しさの程度も決まってきているので、感染拡大への歯止めとしては不十分さが否めないのである。