新型コロナ感染者数の増減の波が、世界各国で異なるのはなぜなのか。統計データ分析家の本川裕氏は「今、第3波が襲っている日本は、これまでアクセルとブレーキを同時に踏むようなコロナ対策だった。中途半端な対応を許し下支えしているのは、日本国民の危機意識の低さではないか」という——。

日本はコロナ第3波襲来中だが、世界には第1波、2波の国も

新型コロナウイルス感染症の流行は、春先の第1波、夏場の第2波に続き、11月以降に第1波、第2波を上回る感染者数で第3波が襲ってきている。

今回は日本の感染者数の推移を、いまだ第1波、2波のところもある海外の動向と比較しながら日本はなぜ第3波なのかを考え、感染拡大防止の対策を練るための参考としたい。

新型コロナウイルスの感染拡大は世界的な現象であり、感染拡大の状況がもっぱらこのウイルスがもつ特性によっているのだとしたら、世界各国は同じ波動を描いてもおかしくない。実際はどうなのだろうか。

図表1には、WHO(世界保健機関)の公表データに基づき、世界の主要な国と地域の過去1週間の感染者数を日ごとに追ったグラフを掲げた(左目盛り)。日本と韓国は感染者数の規模が圧倒的に小さいので、比較のため、スケールを50分の1にした右目盛であらわしている(※左右の目盛りで単位が異なる。左目盛りは万人、右目盛りは千人)

新聞などでは、国別か大陸レベルの地域別か、どちらかのグラフは描かれるが、ここで示したような国と地域を混在させた推移グラフが描かれることは少ないので、目新しく感じられるかもしれない。前述したように数値の単位が異なるので、ここでは各国・地域のグラフの波形に着目いただきたい。

グラフの波形の特徴を見ていこう。世界でもっとも感染拡大が猛威をふるった国・地域については、まずヨーロッパで春先にはじまり、次いで米国がヨーロッパを上回るようになった。さらにその後、北半球で夏の時期に入ると、米国とラテンアメリカの拡大がもっとも大きくなり、秋に入ると最初はラテンアメリカ、次いでインドの感染拡大が米国を大きく上回るようになった。

さらに10月後半からはヨーロッパで、第1波を大きく上回る第2波の感染拡大が世界の中でも特に目立つようになった。ヨーロッパでは、これに対応し、春先に続いて2回目のロックダウン(都市封鎖)を行う国も増えた。米国も11月3日の大統領選挙前後から、ヨーロッパに追従するかのようにもう一度、急速に拡大の波が高まった。

ヨーロッパはロックダウンなど厳しい対策の効果が出たものか、ずいぶんと高いレベルではあるが11月8日にはピークを記している。米国もヨーロッパに遅れて、大統領選が一段落したころから横ばいか下落に転じたかに見えたが、直近ではヨーロッパを上回る拡大に至っている。