同じ3波構造……なぜ日米のグラフ波形は似ているのか
各国・地域のこれまでの動きを見ると世界のコロナ感染拡大は、次の3パターンに分けられることが明確である。
3波構造…日本、韓国、米国
2波構造…ヨーロッパ
1波構造…インド、ラテンアメリカ
感染者数規模はまるで異なっているが、日本と米国では、感染者数の増減パターンは、奇妙なほど似通っている。時期は日本のほうが米国よりやや遅れているが、第1波、第2波、第3波と感染者数レベルがだんだんと高くなる程度も同じである。
もし、米国が日本の一歩先を行っているとしたら、日本の感染拡大は今後さらにもう一段と進むことになる。
米国とヨーロッパとでは、人種的、自然環境的には、そう異なっていないのに、なぜ米国は3波構造であるのに対して、ヨーロッパは2波構造なのであろうか。
この点に関しては、やはり、危機に対する文化的、民族的な行動パターンの差を考えざるを得ない。特に、米国の政治指導者であるドナルド・トランプ大統領とヨーロッパ主要国の政権トップとで、コロナ感染危機への対応の温度差は大きく、これが、3波と2波の分かれ道となっていると感じられる。
米国では11月の大統領選を控えた時期に当たっていたため、民主党サイドがマスク着用に積極的だったのに対抗して、現職大統領側の共和党サイドがマスク着用を忌避する行動パターンに出て、国民を二分するかたちでコロナ対策に選挙運動が持ち込まれたのが、コロナ感染拡大への歯止めに制約を及ぼす不幸な運命のめぐりあわせだったとも解せよう。
「経済重視」日米の政治指導者に共通の危機対応が反映
米国と日本の類似性は、「経済重視」という点で両国の政治指導者が共通の危機対応の精神性を有していたためと考えたくなる。米国では「アメリカ・ファースト」、日本では「アベノミクス」という標語で政治指導者がライバルたちに対する優位性を主張していたので、そう思えるのである。
もっとも、感染者数の規模のレベルの差は大きく、日本の場合は、米国のように政権が再選に向け選挙戦略上「経済重視」を前面に打ち出したいため、あえて感染危機に鈍感とならざるを得なかったというのとは異なり、危機レベルがそもそも小さいので「経済重視」が可能となったというのが真相だろう。この結果、たまたま、日米は類似パターンとなったのである。
韓国は日本より第1波はかなり早かったが、第2波、第3波は日本より遅れている。しかし、3波構造である点では日米と共通した特徴があらわれている。
インドやラテンアメリカは1波構造となっているが、これは、途上国パターンと考えることができる。命の値段がなお先進国ほど高くない両地域では、コロナ危機への対応がかなり遅くなり、感染対策が効果をあらわしたのもさらに先進国より遅くなったため、1波構造となったのではなかろうか。先進国地域とは異なり、ヒトの移動のレベルが相対的に低く、世界的な感染拡大に巻き込まれるスピードも遅かったということも影響していよう。
それでもインドよりラテンメリカのほうが、感染拡大がやや早く、その結果、最近では、ラテンアメリカの場合は、第2波ともいうべき感染者数の高まりが認められるのである。