米国と日本は死亡者数の「波形の動き」も類似

WHOのデータでは死亡者数の動きも分かるので、図表2では、これを追っている。日本と韓国は図表1と同じように50分の1のスケールの右目盛で表示している(目盛りの単位は左目盛:千人、右目盛:百人)

ヨーロッパ、ラテンアメリカ、米国の順番で深刻なコロナによる死亡

全体的に、感染者数のピークからやや遅れて死亡者数のピークが訪れていることがわかる。死亡者数のピークはヨーロッパでもごく最近である。日本や米国ではなお死亡者数が増加の一途をたどっている。

ヨーロッパの死亡者数は、第1波と第2波でほぼ人数規模が同じである。感染者数では第2波が第1波を大きく凌駕しているので、感染死亡率は第2波でずいぶんと低下したことがうかがえる。

3波構造の米国と日本は死亡者数の動きも類似している。第1波の死亡者数より第2波の死亡者数が少ないが、第3波は第2波を大きく越えており、日本の場合は第1波のピーク水準に迫る勢いである。

1波構造のラテンアメリカとインドを比較するとラテンアメリカの死亡者数規模が大きい点が目立っており、ラテンアメリカの死亡率の高さがうかがわれる。

スウェーデンだけはヨーロッパの中でも特殊な感染推移パターン

ヨーロッパはそれぞれ独自な文化をもつ多くの国から構成されており、ヨーロッパを一本化して論じるのは、やや無理があるかもしれない。そう考え、図表3では、ヨーロッパの主要国の感染者数の推移パターンについてピーク時を100とする値であらわしてみた。

ヨーロッパ主要15カ国の動きを追ってみると、驚くほど、各国が類似した2波パターンをたどっていることが分かった。

やや異なるパターンを示しているのは、スペイン、ロシア、スウェーデンである。

しかし、スペインの場合は、第2波が他のヨーロッパ諸国より早く来たと考えれば、それ自体がなぜなのかの疑問は残るものの、納得できる。また、平均寿命が短いロシアは、命の値段が途上国並みであり、コロナ危機に対してインドやラテンアメリカほどではないが、それらの地域と同様にヨーロッパ一般より対応が遅かったと考えれば、第1波が遅かった2波構造と見なすことができる。

ヨーロッパで感染拡大が3波に及んだのはスウェーデンのみ

従って、ヨーロッパの中で特殊なのはスウェーデンのみということになる。スウェーデンは、ヨーロッパにもかかわらず、むしろ米国や日本と似た3波構造が認められるのである。

新型ウイルスの流行に対し、スウェーデン政府は、集団免疫の獲得を目指し、他のヨーロッパ諸国のようにロックダウン政策は採用せず、放任主義的な措置を選んで、幼稚園や学校、レストラン、カフェやバーなどが通常通り運営されていたことで有名である。こうした特殊な対応がヨーロッパの中で特異な推移パターンを生んだ要因だといえよう。

このようにヨーロッパ諸国の間の推移パターンの比較からも政権によるコロナ対策の在り方が感染拡大の波動構造に影響を与えていることがうかがえる。