7~10月「外食」費が回復し、第3波の引き金になったか

経済の落ち込みの中で全体としては家計の消費支出も落ち込んだが、その中で伸びていた消費もある。支出額の増えた費目と減った費目について目立ったものを四半期ごとに見てみよう(図表3参照)。

家計支出の変化:増えた「巣ごもり消費」、減った「外出消費」

「減った支出」の方から見てみよう。

緊急事態宣言が発せられていた期間を含む4~6月の落ち込みが特に目立っていたのは、「宿泊料」「交通費」「外食」「洋服」「交際費」など外出そのもの、あるいは外出にともなう消費であり、外出を大きく自粛されたことがこうした結果をもたらしたことは明白であろう。特に、「宿泊料」「交通費」「外食」が50%以上も減っていたのが目立っている。

4~6月には「医療費」も15.3%も減っており、病院の受診控えが深刻だったことが分かる。この時期、コロナ感染による死亡より受診控えによる死亡の方が深刻だったとも考えられるのである。

第2四半期の4~6月に次ぐ第3四半期は本来7~9月であるが、ここでは、前年の消費税引き上げ前の駆け込み需要とその反動の影響を相殺するため、もう1カ月延長して7~10月の集計に代えている。

7~10月になると「理美容」や「医療費」など消費がかなり回復した項目もあるが、「宿泊料」「交通費」などはなお深刻な落ち込みが継続している。この2項目と比較して「外食」はかなり回復しているが、これが、第3波の引き金になっているとの見方もあろう。

巣ごもり消費で日本人は「麺」「酒」「肉」を飲み食いした

次に、コロナの影響でむしろ「増えた支出」を見てみよう。

4~6月の消費が最も大きく伸びたのは「生地・糸類」である。これは、マスク不足の中で各自が自分でマスクづくりに精を出した影響であろう。次に「自転車」であるが、通勤を電車にかえて自転車にした者が多かったせいであろう。

「マスクなど保健医療品」は4~6月も値が高かったが7~10月はさらにこれを上回っている。不足していたマスクが出回るようになり、アルコールなど消毒用の物品等も加わった需要の拡大が要因だろう。「トイレットペーパー等」は買い占めの影響で1~3月から伸びが高かったが、7~10月には供給の安定により需要増はほぼ収まっている。

巣ごもり消費の拡大と見られるのは、「麺類」「酒類」「肉類」「生鮮野菜」への支出増である。外食を控えて家庭内で食事するケースが拡大していることがうかがわれる。

「たばこ」の消費も増えているが、巣ごもり消費の一環と見るか、感染拡大による不安心理のなせる業なのかは見方が分かれよう。