ジェンダーギャップ指数と幸福度の男女格差は無相関

上にふれた「世界経済フォーラム」が作成した「ジェンダーギャップ指数」の結果(世界の中でも有数の男性優位社会、女性差別社会)と、意識調査結果による幸福度の男女格差のランキング(女性の幸福感が男性を常に上回る)はあまりに食い違っている。

この点を確認するために、両者の相関図を図表4に掲げた。

男女の幸福度格差と不平等度の相関(ジェンダーギャップ指数)

幸福度女性優位度世界一のフィンランドはジェンダーギャップ指数でも男女格差の小ささが世界2位であり、両者には関係があるようにも見える。しかしながら、ジェンダーギャップ指数で男女格差の小ささが世界1位のアイスランドでは、幸福度はむしろ男性のほうは2%ポイントほど大きいという結果(女性の幸福度が男性より低い)となっており、まったくの逆比例である。

男女格差が大きいパキスタンやイランでは、幸福度も男性優位であるが、日本の場合は、男女格差が大きいのに幸福度は明確に女性優位である。

つまり、ジェンダーギャップ指数で測った男女格差と、幸福度の男女格差はまったく相関していない。相関図の全体的な分布を見てもそう言える。

図表4の右上には、当記事の冒頭でジェンダーギャップ指数と比較した国連開発計画のジェンダー不平等指数で同様の相関を見た図を掲げておいた。こちらのほうでは、相関度は低いが、多少なりとも右下がりの傾向、すなわち、男女格差が大きいほど幸福度の男性優位となる傾向が認められる。

相関度を表す値にR二乗値があるが、世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数では0.022とほとんどゼロ(無相関)であり、しかも傾きがプラスであるのに対して、国連開発計画の指数では0.076で傾きもマイナスであり、若干ながら右下がりの相関があるといえるのである。

こうした面からも、マスコミ各社が「日本=旧態依然の女性差別国・男性優位社会」ということを述べるためにこぞって取り上げる世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」を男女格差の程度を示す指標としてうのみして論じることには無理があろう。

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