*本稿は、石倉秀明『これからのマネジャーは邪魔をしない。』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。
「モチベーションが高い=成果が出やすい」は幻想
「部下のモチベーションが低くて……」と悩むマネジャーがたくさんいます。
ビジネス書においても、「モチベーションを上げる方法」などといったものがよく見られます。モチベーションの低いメンバーを叱咤激励したり、モチベーションの研修などを受けさせたりしているマネジャーも多いでしょう。
「モチベーションが必要ない」と言うつもりはありません。ただ、「モチベーションを上げることがマネジャーの仕事になってはいけない」と思うのです。むしろそれが、逆にチームのメンバーのモチベーションを下げる原因になってしまうことには注意が必要です。
そもそも「モチベーションを上げると、成果が上がる」というのは幻想以外の何物でもありません。
モチベーションに関する2つの勘違い
モチベーションに関する勘違いは2つあります。
②モチベーションが高いと成果が出る
これはどちらも間違いです。
まず、ひとつ目の「モチベーションは高いほうがいい」というものですが、この前提が間違っています。マネジャーは、チームのミッションを達成することが「仕事」です。メンバーのやる気があるか、モチベーションを高く維持できているかどうかは、本来マネジャーがマネジメントすることではありません。
実際、「モチベーションは高いものの、結果を出さない人」と「モチベーションは低いけれど、結果を出してくれる人」のどちらがいいでしょうか。おそらくほぼすべての人が後者を選ぶはずです。
モチベーションが低くて行動していないのであれば、行動していないことを指摘することが正しいのです。いえ、他人のモチベーションをなんとかしようと考えることがそもそも間違いです。
モチベーションが低いこと・高いこと自体にフォーカスを当てるのではなく、事実として、「与えられた役割をこなせているか」「与えられた目標を達成できたか」にフォーカスし、マネジメントすることです。