勝てるポイントや構造がわかれば、成果は出せる
結果を出そうとしても、ポイントが何かわかっていない人はたくさんいます。結果を出している人であっても、結果が出ている理由をわかっていないことは珍しくありません。
私がDeNAの人事部にいたとき、よく採用面接を担当しました。面接で、これまで営業で結果を出してきた人に「なぜ結果が出たんですか?」と尋ねても、明確に答えられる人はあまりいませんでした。「ほかの人と何が違いましたか?」と尋ねてもダメです。
そういった人に、「1.5倍の成果を上げてくださいと言われたらどうしますか?」と尋ねると、「1.5倍働きます」といった回答しか返ってきません。結果を出せる人であっても、ほとんどが感覚で仕事をしているわけです。
そうではなく、勝てるポイントや結果が出せる構造を理解できていると、何度も再現でき、部下やメンバーに伝えることができます。
成果を出すためのポイントがわかっているか?
私がリクルート時代の営業の仕事でよく行っていた「テレアポ」で考えてみましょう。多くの人は「営業トークのうまさ」に着目するのですが、実はテレアポでのアポ獲得率と営業トークのうまさは関係なかったりします。
受注を得るには商談が必要です。その商談を設定するために電話をかけるのですが、じつはかけた数よりも「担当者と話せた数」のほうが重要なのです。担当者と話せる確率が上がっていかないと、テレアポは意味がありません。その根本を改善できるかどうかが問題なわけです。
しかも営業トークはもともと備えている能力やセンスが求められますので、真似したとしても、そうはうまくいきません。
「誰でも変えられる部分」を改善する
一方、「能力やセンスとは関係ない部分」を変えたほうが、誰もが結果を出せるようになります。それがリスト管理などです。
そういう誰でも変えられる部分をしっかり変えてあげると、インパクトのある結果が出るようになります。
営業トークの改善で得られる結果は、それに比べれば小さなものにすぎません。たとえば、受注率が数%改善しても数十件商談して受注が1件増える程度で、それでは結果のインパクトとして小さいものです。
事実、私は営業トークを教えたことは一度もありません。その人に3つほどポイントを覚えてもらうだけで、ロールプレイングもやらない。
そもそも、その人が社会人になるまでの二十数年間で形成されたコミュニケーションの方法や意識が、ロールプレイングくらいで劇的に改善するはずがありません。それでも、私がマネジメントした営業メンバーで、目標を達成できるようにならなかったメンバーはいませんでした。