部下を成長させるには、どうすればいいのか。人事コンサルタントの望月禎彦氏は「育てベタの上司は部下の『印象』に縛られて、部下の人間性を間違ったまま、同じ指導を繰り返していることが多い。それでは部下は成長しない」という――。
深刻そうな表情で座り込むビジネスパーソン
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「印象」の呪縛が、あなたを「育成下手上司」に……

まず、皆さんに2つ質問があります。

Q1 あなたの部下は、リモートワークをしながら、しっかり仕事に集中できていると思いますか?
Q2 Q1の答を出した根拠は何ですか?

この質問、Q1よりもQ2が、実は大切です。

Q1の質問に対しては、「しっかり仕事をしているはず」という答えも、「もしかしたらさぼっているかもしれない」という答えもあるでしょう。

部下によって、まちまちかもしれません。

ではQ2の質問にはどう答えましたか?

多くの方が、部下からの日報や打ち合わせをするなかで感じた「印象」で答えているのではないでしょうか。実はこの「印象」がやっかいなんです。なぜなら、「印象」は「一部分だけ」を見て、決めていることが多いからです。これだと、部下の本当の姿を見誤る可能性が高いのです。

たとえばあなたが、新しいレストランに行ったとしてください。

お店の方がすごく感じがよいサービスをしてくれると、その人の「印象」は、しばらくは、「いい人」のままですよね。実は、その人は遅刻魔かもしれませんし、家に帰るといつもムスッとしている感じの悪い人かもしれません。でも、そのときに見えた「印象」で、その人を「いい人」と決めてしまうわけです。

育て下手な上司の大きな特徴の一つが、部下を「印象」のみで、部下がどういう人間かを判断し「こいつはサボり癖があるから厳しく」「言うことをよく聞くあいつには、優しく」などと、決めつけて指導していることです。

ダメな上司ほど、同じ指導を繰り返す

同じ指導でも当然、受け取り方は十人十色ですし、状況によっても変わってきます。だからこそ、部下のことをよく見て、そのときどきに合った指導をしなければならないのに、育てベタの上司は、「印象」に縛られて、部下の人間性を間違ったまま、同じ指導を繰り返していることが多いのです。