スーパーのレジ前での待ち時間を減らすにはどうすればいいか。データコンサルタントのサトウマイさんは「列の長さで並ぶ列を判断するのは間違い。参考にすべきなのはレジの回転率。その理由は統計学を使うと説明できる」という——。

※本稿は、サトウマイ『はじめての統計学 レジの行列が早く進むのは、どっち!?』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。

レジにならぶ人たち
写真=iStock.com/ThamKC
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統計学で行列の待ち時間を短縮する

スーパーのレジ、病院の診察室、銀行のATM、空港の搭乗手続きなど、世の中のいたるところで順番待ちをする人の行列(待ち行列)が見られます。

一生のうちに、レジに並んでいる時間はどのくらいでしょうか。まずは、レジに並ぶ回数を計算します。寿命を80年として、20歳から毎日なんらかの買い物をしてレジで会計をすると仮定すると、(80-20)年×365日=2万1900回ということになります。

統計学を応用するには、このように「頻発するような出来事」のほうが効果は高いといえます。その理由に、第1章で解説した「大数の法則」が働くためで、日常生活のよくある出来事ほど統計的な視点を入れたほうがお得、ということです。

一生でレジに並ぶ回数2万1900回のうち、半分が「前の人の会計を並んで待っている状態」で、平均3分待つとします。すると、次のような計算式になります。

21900回×1/2×3分=32.850分=547.5時間=約23日間

成人してからの人生の中で、約23日間も「ただ並んで待っているだけの時間」(自分が会計をしている時間は含まない)があるということです。

移動時間であれば、本を読んだり音楽を聴いたりできますが、商品を持ちながら並んでいてはそうもいかないでしょう。だとすると、なるべくこの時間を短縮したいと思うのも当然です。

迎える側の企業としても、お客さんの待ち時間が少なくなることで、お客さんの満足度が向上し、業績のアップにつながるはずです。

そんなときに役に立つのが、「待ち行列理論」です。この理論を使って、なるべく待ち時間の少ないレジに並ぶ、レジ戦争を勝ち抜く方法を紹介したいと思います。