最善の方法は「2人態勢のレジに並ぶ」
①2人体制のレジに並ぶ
具体的には、2人体制でやっているレジに並ぶのが最善です。これが意外と盲点です。会計には、大きく分けると「スキャニング」と「会計」の二つのプロセスが存在します。スキャニングは商品のバーコードを読み取る作業で、会計はお金をもらってお釣りを渡す作業です。ここではこの二つを併せて「レジ通過」と呼ぶことにします。
店員Aさんがスキャニングをしているときに、店員Bさんが別のお客さんの会計をするという同時処理が可能です。POSシステムなどを製造・販売している株式会社寺岡精工の調査によると、購入点数が10点の場合、スキャニングの平均時間は約27秒、会計は約21秒という結果が出ています。
スキャニングと会計はおおよそ同じくらいの速度なので、2人体制にすることで処理量は2倍近くに上がることになります。実際には、購入点数や決済方法によってバラつきがあるので、2倍の処理量にはならないと思います。しかし、ここでは単純化するため2倍と仮定します。
2人体制レジの処理速度は通常の5倍
例えば、ポイント10倍デーの夜8時台はレジを2台稼働させる。二つのレジともに平均5分間隔でランダムにお客さんが会計にくるとします。
ひとつ目のレジは1人体制で対応しており、1時間で30人の会計ができる二つ目のレジは2人体制で対応しており、1時間で60人の会計ができるとすると、まず1人体制のレジの待ち時間は前述の計算と同じです。では、2人体制のレジの待ち時間はどうなるでしょうか?
B:1時間のうちに何人のお客さんの会計ができるか
→60人(レジ2人体制で、2時間の処理量が2倍に増えたと仮定)
A/B:稼働率(レジの混み具合)
→12/60=1/5
(A/B)/1-(A/B):待ち人数
→(1/5)/1-(1/5)=1/4[人]
1/B:平均レジ通過時間
→1/60[時間]=1[分]
待ち人数×平均レジ通過時間:待ち時間
→1/4[人]×1[分]=1/4[分]=15[秒]
レジが2人体制になったことで、待ち時間が80秒から15秒と5倍以上も短縮されました。処理量が2倍になったことで待ち時間が半分になるわけではなく、もっと短くなる、ということがわかりました(図表1)。
「処理量が2倍になると待ち時間は半分どころかかなり減る」ということを覚えておくと、2人体制のレジがある場合、待ち人数が1~2人多くてもその列に並んだほうが会計が早く終わる、ということです。