大学教育の「スーパーマーケット化」
日本の学部生は大体10から12の科目を履修していると思います。こんなことは国際的にありえない話ですね。アメリカであれば4とか5とか半分以下です。ということは、そのくらい日本の大学は科目を細切れにしてしまった。1科目の単位数が大体1.5とか2です。1学期(半年)に10~12の科目を取り、1科目が2単位とすると、大体40単位ぐらいを1年に取っちゃう。4年間では70ぐらいの科目の授業に出ているわけです。そんなに出たら、1年生の時に何をやったかなんて忘れちゃいますよ。
しかも、一つ一つの科目はたかだか2単位ですから、リクワイアメントが大きい科目は簡単に捨てられる。面倒くさかったら取るのをやめればいい。「ラクタン科目」っていって“楽に単位が取れる科目”だけ残せばいいわけですから。これを私は「大学教育のスーパーマーケット化」と言っています。スーパーでとりあえずいろんな商品をかごの中に入れて、レジの近くに来たら、自分の財布にいくらあるかチェックして、これは要らない、これも要らないと返してしまえばいい。そういう形になっているのが、今の大学なのです。
教授と学生の対話を授業の中核に
1科目につき週1回、90分授業をやって、それが15週ほど続く。週1回しか先生と会わないわけですから、次の週までに一体何をやってたか忘れちゃうんです。風邪で休んだり、1回休講となると、2週間空く。そうしたら普通の人間はまず忘れますね。
でも、1学期に取るのが4科目か5科目だったら、単位数は1科目4とか6となり、学生は週2~3回、先生と顔を合わせる。一つ一つの科目に対するコミットメント(関わり合い)が全然違うんですね。そうなると、先生と学生の対話が決定的に重要になってくる。教室の中でただ座っていればいいってことではない。それが大学なんです。大学の授業ってそうであるべきだと私は思います。その条件が整っていれば、オンラインには可能性がある。