コロナ禍でオンライン授業がメインとなっている大学生はずっとひきこもっているのか。フリーランスの編集者・ライターのホシカワミナコさんは「自宅やアパート内で“軟禁状態”に置かれているというイメージがありますが、学生の中には、ネットの利活用で友人をたくさん作り、地域の人々とつながり、起業を目指している人もいます」という。早稲田大学1年生の3人の事例を紹介しよう――。
And'sの林さん(左)と合田さん
撮影=ホシカワミナコ
And'sの林さん(左)と合田さん

オンライン授業の大学生は実はそんなに孤独ではなかった

コロナ禍の2020年春、晴れて大学入学を果たした学生は、63万5003人(※)。しかし、入学式が中止となる大学が続出し、緊急事態宣言で授業がオンラインになると、大学1年生たちは新しい交友関係も築けない時期が続いた。地方から上京した学生の場合、賃貸アパートに閉じこもる孤独な時間も多かった。

※出典:文部科学省「令和2年度学校基本調査」(5月1日時点の在籍者数)

だが、“軟禁状態”に甘んじている学生ばかりではない。

「がんばっている学生もいるので、もっと学生にフォーカスをあててほしい」

そう話すのは、早稲田大学先進理工学部1年生の合田葵(ごうだ あおい)さんだ。

同大社会科学部1年生の林美里さんと「And's」(アンズ)という学生団体を昨秋に作った。これまでに2人は福島県や石川県などに滞在し、在学中に起業することを目指している。

コロナ禍だからこそ「起業の夢」を持つことができた

昨年の早稲田大学は、入学式は中止、正式な授業は5月11日からから始まった。前期はオンラインで、9月以降は一部授業が大学内でも受けられるようになったが、2人ともまだ一度も大学で授業を受けたことがなく、合田さんにいたっては大学の敷地に入ってもいない。しかし、授業はオンラインで受け、単位は落としていないという。

合田さんは東京都と山梨県で育ち、林さんは長野県出身だ。福島県とは縁もゆかりもないうえ、春の時点では学生起業家を目指そうなどとは考えてもいなかった。それにもかかわらず、約半年間で大学内外に多くの友人・知人ができ、起業の夢を持つまでになった。

オンライン授業ばかりで鬱々うつうつとしていた新1年生の2人が、前向きになれたきっかけは、市民大学「さとのば大学」(発起人:信岡良亮氏)への参加だ。この市民大学は「社会と接続した学びのあり方」を提案し、オンライン講義と地域留学を組み合わせたプロジェクトを行っている。

「早稲田大学に『大隈塾』(早稲田大学エクステンションセンターが主宰する講座で塾頭は田原総一朗氏)という社会人のゲストスピーカーにお話しいただく授業があって、僕と林さんはその受講生です。直接の運営を学生が行っているのですが、学生の学びをとめないよう、大隈塾だけは4月からオンラインでスタートしました。そこで『さとのば大学』の信岡良亮さんの話を聞く機会があって。外出自粛で出歩くこともできず、実家でイライラしていたんですが、さとのば大学で夏休みに地域留学する夏季特別コースがあると聞いて、参加することにしたんです」(合田さん)