新型コロナウイルス対策で出社回数が減った結果、朝の準備や通勤時間が浮いた人が増えている。実業家の本田直之氏は「今の日本人の間には『時間格差』がどんどん生まれている」と指摘する。どういうことか――。

※本稿は、本田直之『パーソナル・トランスフォーメーション コロナでライフスタイルと働き方を変革する』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

本田 直之氏
写真=筆者提供

通勤が無くなって1時間以上時間が生まれた

コロナがもたらしてくれた変化の1つには、間違いなく「時間」が挙げられるでしょう。時間は一気に増えました。そして、増えた時間はこれからもう減らないと私は思っています。

第1に、多くの会社で通勤がなくなった。片道1時間として往復2時間。外に出ることになれば、着替えも必要ですし、女性なら化粧をしたり、洋服を選んだりと、プラス1時間くらいは必要だったのではないでしょうか。そうすると、2、3時間、浮いた人が多い。

完全リモートでなく、週に何度かは会社に行く、という人も少なくないかもしれませんが、それでも毎日の通勤はなくなったわけですから、浮いた時間は大きい。もう元には戻れない、という人も少なくないようです。

また、打ち合わせをするにしても、コロナ前はどこかに出向いて打ち合わせをしていたわけです。そうすると、そのための移動時間も必要だった。そうすると、通勤を合わせて1日4時間くらいは浮いた人も多いのではないでしょうか。移動が多い人であれば、もっと浮いている。それが、丸々自分の時間になったわけです。

会議はダラダラしないし、呼び止められることもない

その打ち合わせの手段がZoomをはじめとしたオンラインになったわけですが、意外にもオンラインミーティングというのは正確な時間で始まります。

通勤がないので、電車が遅れてしまった、と後から入ってくる人もいない。そうすると、議論もスムーズに進んで、終わる時間も意外に正確です。

会議が始まる前に雑談で時間を費やすこともなくなったし、オンラインだとダラダラしたミーティングをすることもなくなった。会議やミーティングがオンラインになって、これまた時間が浮いたのです。

もしかすると、8時間労働であれば、半分以上浮いた人もいるのではないでしょうか。ミーティングや会議の時間がずるずる延びたり、オフィスにいたために「ちょっといいかな」と呼び止められて時間を取られたり。こうした無駄な時間があったという人も少なくないと思うのです。

こういうものがすべてなくなった。だから、時間はとても増えている。リモートワークになって、それを実感している人も少なくないのではないかと思います。

「時間格差」がどんどん生まれている

ただ、問題はその増えた時間を何に使っているか、です。これが、最も大事なところです。

家にいるので、時間が増えても自己管理能力がない人は、その時間を浪費に回してしまいかねない。誰も監視していませんから、何をやってもいい。自己管理できない人は、ダラダラとテレビやゲームにはまったりして、せっかくの時間を無駄に使ってしまっているのです。

お金と同じです。自己管理できている人は、お金を自分の仕事に使ったり、自分の力を上げることに使う。すると、これが再投資になって、仕事のレベルがどんどん上がっていったりする。自分自身のレベルも上がっていく。