一年生の授業の全面オンライン化は望ましくない
少人数授業で対面が求められていることについて、確かに一つ、当然ながら考えられるのは、学生間の横のコミュニケーションが取りにくいことです。先生とそれぞれの学生は一対一というか、非常に関係が密になる。半面、学生同士はオンラインだとどうしても関係が疎になります。一緒にご飯を食べに行けないとか、一緒にワイワイできないとかですね。大学に来て、ゼミなどの授業で集まっていれば友達ができますから。そういう面がオンラインで非常に阻害されているのは事実だと思います。
そういう意味で、特に1年生の授業を全面オンライン化することは、非常にマイナスだと思います。授業の中で生まれてくるさまざまなコミュニケーションの可能性をオンラインは育てないですから。教室という場、実空間を共有している方がコミュニケーションは育つわけです。空間を共有し、時間も共有する、つまり一つの教室にみんな集まってワイワイガヤガヤやる授業があるというのは、確かに大学の基本だと思います。
学生間のコミュニケーションが全部ダメになるわけではない
ただ、空間の共有ができないからといって、全部駄目になってしまうわけではなくて、オンラインによって時間の共有はできるわけですから、そこでコミュニケーションをする可能性というのは、我々はもっと探求していいはずだと思います。
——学生をはじめとして、そういう「可能性」にはなかなか目が向きにくいということでしょうか。
学生は何をしに大学に来ているのか。目的が卒業証書をもらうためだけだとすると、一番楽に単位を取ることが重要になる。大学は友達や恋人、あるいはコネクションを作るところだとすれば、オンラインは最悪なわけですよ。
その意味ではオンラインには限界がある。友達を作るのは大学の重要な要素だと思います。これを失わないためにはキャンパスは必要だし、教室も必要で、全部オンライン化しちゃいけないっていうのはとてもよくわかるし、僕もそう思う。