現在開催中の国際大会「ネーションズリーグ」で同大会の男子史上初となる開幕13連勝を達成したバレー日本代表。しかし彼らは2年前のパリ五輪では準決勝に進めず7位に終わった。日本バレーボール協会副会長の金川裕一氏は「スポーツの世界ではメンタルの強さがものをいう。それはビジネスの世界にも通じることだ」という――。

※本稿は、金川裕一『一流の人望力 人の心をつかむ人がいつもやっていること』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

2026年7月15日、ネーションズリーグ2026でイタリアに勝利し喜ぶ高橋藍=Asueアリーナ大阪
写真提供=共同通信社
2026年7月15日、ネーションズリーグ2026でイタリアに勝利し喜ぶ高橋藍=Asueアリーナ大阪

大事な場面で普段のプレーができない理由

どんな世界でも、最後に勝つのは「はじめから特別な才能を持っていた人」ではなく、「当たり前のことを当たり前にやれる人」です。逆に言えば、「当たり前のことを当たり前にやれる人」こそが特別な才能を身につけられる、といえるかもしれません。

私は、日本バレーボール協会の副会長として、また早稲田大学バレーボール部のOBとして、若い選手たちと接する機会が多く、現役の学生部員からの悩み相談も受けます。彼らが抱える課題は何か。技術的なことよりも、「なぜ大事な場面でいつもどおりのプレーができないのか」など、メンタル的なものが多いです。

実際、スポーツの世界では、メンタルの強さがものをいいます。

たとえば、2024年のパリオリンピック。バレーボール男子の準々決勝で、日本は、イタリアとフルセットの激闘の末に敗れました。1976年のモントリオール大会以来の、48年ぶりの準決勝進出を果たせませんでした。しかも、2セット先取して勝てそうだったのに、最終的にかなわなかったのです。

理由は何か。「勝てる」と思った瞬間に、それまでできていたプレーが急にできなくなったからだと思います。気持ちが先走って、平常心が崩れた。そうなると、人は普段どおりの動きができなくなるのです。

私が学生部員たちに伝えるのは、「どんなときも、当たり前のことを、いつもどおりにできる状態にしておくように」ということです。練習ではできるのに本番で崩れるのは結局、「当たり前にできる精度」が甘いから。当たり前のプレーを徹底し、無意識でも正しくできるレベルまで仕上げておく。それが、本当のトップ選手の条件です。

サッカー日本代表の「壁」とは

7、8年前ですが、サッカー日本代表の監督を務めたこともある岡田武史さんと食事をしていたとき、「細かい技術が日本代表の壁だ」と話してくれました。

ピンポイントでメンバーの足元にボールをパスしたり、受け取ったボールをワンタッチでゴールに入れられるようにコントロールすること。そういう細かな技術が世界に届かない限りは勝てない、と。

要するに神様は細部に宿るのです。小さなことの積み重ねこそが大きな結果につながる。日々の「基礎」や「準備」を絶対に軽く見ないことが大切です。

これはスポーツだけではなく、仕事にも通じます。会社で任せたくなるのは、“地味なことをきちんとやれる人”です。