一流の経営者は人と何が違うのか。実業家の金川裕一氏は「厚い人望のある経営者は、人の期待をやすやすと超えていく。かつてソニーの経営を立て直した現会長の吉田憲一郎氏の行動には常に驚かされている」という――。

※本稿は、金川裕一『一流の人望力 人の心をつかむ人がいつもやっていること』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

ソニーシティみなとみらい
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一流の人望力のある人が持っている力

人望力を磨くポイントのひとつは、「事前期待を超える力」を身につけることです。ビジネスシーンでも、日常の何気ない会話でも、人と人が出会うときには、何らかの「期待」が生まれています。

相手は、「今日はきっとこうなるだろう」「こんな話になるだろう」といったことを言葉にしないまでもあらかじめ想定します。目には見えない期待です。私は、この想定を「事前期待」と呼んでいます。

たとえば、自分が「仕入れ先の営業担当」で、これから取引先と打ち合わせだったとします。相手は、物価高の今だから、「また値上げの話かな。でもいい話になるといいな」と構えています。そのタイミングで、

「御社向けには、コストを抑えるための別パッケージをご用意しました」
「輸送経路の見直しによって、従来より安くできる提案があります」
「資材の価格は上がっていますが、社内での効率化の結果、価格据え置きが可能になりました」

といった、“期待以上”の提案をしたら、どうでしょうか。相手は思わず、「そこまで考えてくれていたのか」と感じて、信頼感や好感度が一気に高まります。

相手の“目に見えない期待”に気づき、相手の想定を超える行動や配慮をもって応えること、それが「事前期待を超える」ということです。事前期待を超えることで、ビジネスはもちろん、日常の人間関係が円滑になるのです。

情報が氾濫する今こそ「得たい情報」

「事前期待を超える」ためには、上質な情報が必要です。上質な情報を持っていれば、相手が気づいていない「潜在的なニーズ」や「次に求めるであろう価値」を先回りして提案することができるからです。

情報は人が運んでくれるものです。この観点からも、人とのつながりを大切にすべきです。

人に会わなくても、インターネット上に情報があふれているから、そこから情報を得ればいいのでは、と考える人もいます。

しかし、人は自分の希望や課題、経験をすべて自分の中で言語化できているとは限りません。会うことで引き出せる話もあり、そこから視野が広がり、会話の質が高まります。

人と会って得た経験や体験から得た情報こそ、今の時代において最も価値があると感じています。ネットで得られる情報に有用なものもありますが、自分の足で訪れ、実際に人と会い、会話し、感じたことに勝るものはありません。だからこそ、「情報を持っている人」=「価値のある人」だと思います。

そして、情報とはネットワークそのもの。人と人とのつながりの中で、自分の視野が広がり、新しい視点が生まれていくのです。