下位の人を味方につける

味方につけるのは、上位の人じゃなくて、下位の人。まずは学生。学生の信頼を絶対に獲得する。それと教員よりも職員。そうやって味方を増やしていきました。


上野千鶴子、出口治明『あなたの会社、その働き方は幸せですか?』(祥伝社)
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学生の信頼を獲得するためには、授業を面白くすること。クレームがくるようなことは絶対にしない。女子短大に長くいましたが、彼女たちには学問の言葉が通じません。できるだけ専門用語を使わずに説明するとか、身近な話題につなげるとか、そういう工夫をいちいち丁寧にやりました。今日、私の話がわかりやすいと言ってもらえるのは、彼女たちに鍛えられたおかげです。

職員にはよく差し入れをしました。たとえば電話交換手の人たち。東大に異動した初期は、携帯電話どころか研究室直通の電話がなくて代表電話にかかってきた電話を交換手が取り次いでいたんです。顔の見える関係をつくると、対応が変わりました。

事務方の職員もそうです。遅くまで研究室にいることも多かったから、警備員さんの休憩室にも挨拶に行っていました。そういうことはマメにやりました。

女性は上目遣いを求められてきた

ヒラメみたいに上を見て高い地位の人たちだけを見ていてはダメ。繰り返しますが、何のために空気を読むのか、ということです。

これまで女性たちは、知恵や権力を持つ人たちのおこぼれにあずかるために、上目遣いが求められてきたんです。女房役や秘書役と呼ばれるように、いつも脇役だからです。私はそうじゃなくて、やりたいことがある時に、自分が孤立しないためにどうすればいいかを考えました。理解者がいない苦労を散々味わったし、ずっと札つきでバッシングを受けて、風当たりも強く、自分が孤立しやすい立場にいるという自覚がありましたから、味方をつくる努力をしました。

上司とは利害、部下とは信頼でつながる

最後に自分を守ってくれるのはどういう人たちか。少なくともこの人は教師としてはいい人だって、そういうことをちゃんと証明してくれる学生がいることは、とても大事です。

会社でも上司を見るのか、部下を見るのかで違うでしょう。上司とは利害でつながる。でも部下とは信頼でつながります。

本当に周囲に恵まれてここまで来ました。そのためには相手の信頼を裏切らないように、丁寧に仕事をしてきました。

仕事をしている人は、覚えておいてください。信頼は蓄積します。だから、信頼が蓄積できるような仕事の仕方をしてください。

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