子どもの自己肯定感を高めるにはどうすればいいか。3人の息子を育てた歌手のアグネス・チャンさんは「他の子どもと比べないことが大切。それぞれ個性があるからこそ価値があるということを自覚させるといい」という。東京大学名誉教授・上野千鶴子さんとの対談をお届けする――。
※本稿は、上野千鶴子、アグネス・チャン『報われない社会で、それでも生きる』(Gakken)の一部を再編集したものです。
健康で、グレなければ「子育て大成功」
【上野】ここからは教育論について語り合いたいのですが。アグネスさんは2016年に『スタンフォード大に三人の息子を合格させた50の教育法』(朝日新聞出版)という本を出版なさっていますね。この本は売れたのでは?
【アグネス】はい。おかげさまで。香港や中国で、台湾や日本でもベストセラーになりました。
【上野】発達心理学などのデータによると、親の学歴達成に子どもが到達する確率は2分の1程度。つまり個性の違う子どもが3人ともスタンフォード大へ進学したというのはレアな確率だと言えます。
【アグネス】子どもが健康で、グレなければ大成功だと思っていました。
【上野】不登校問題もなく?
【アグネス】なかったんです。本当に頑張ってくれたんですよね。
母親の試行錯誤についてきてくれた
【上野】頑張ってくれたというのは気になる表現ですね。親のために頑張ってくれたという見方をしているのですか?
【アグネス】ハハ。でも親としては子どもがやったすべてのことがありがたいのです。私は自分が大学で学んだ教育方法を実践して育てたのです。実験台じゃないけど、子育て中、いろんな方法を使ってみました。この方法はうまくいった、これはそうでもなかったという試行錯誤の連続だったのです。
母が戸惑いながら、時にはやっぱり違い、仕切り直しと遠回りしながらの教育法だったのにもかかわらず、よくぞグレずに育ってくれたなと本当に感謝です。

