「失敗できない」というプレッシャー
【上野】アグネスさんの教育法、目標は本当にすばらしい。「自己肯定ができる子に」とか、「失敗を恐れない子に」とか。それも子どもを「自由にのびのび」と放任するものじゃなくて、「友達みたいな親子関係は望まない」「教育の全責任は親が持つ」と親の目の届くところで子どもに育ちのチャンスを与えています。
三番目の息子さんがスタンフォード大に合格した時、「その嬉しさは……天に届くほど大きなものでした。泣いた! 笑った! 万歳した! “努力した甲斐があった! すべてが報われた!”と思いました」と書いておられましたが、絶対に子育てに失敗してはならないというプレッシャーがどれほど大きなものだったか、逆にわかるような気がしました。そのプレッシャーから解放されたんですね。
そもそも大学で児童心理学を学ぼうと考えたのはなぜだったのですか?
【アグネス】私は香港のミッションスクールに通っていたのですが、中学の時にボランティア活動を始めたんです。がん患者の看病をしたり、子どもに読み書きを教えたり。とってもやりがいがありました。特に子どもはすごく喜んでくれました。でもその中で心に届かない子もいました。自閉症の子どもや、精神的な障がいがある人などにコミュニケーションをとるのが難しかったです。
当時、香港で大学へ進学できる人はほんの一握りだったのですが、もし、私が大学へ進学できたら児童心理学を学んで、どんな子どもとも話ができる大人になりたいと決めていました。
他の子どもと比べることはNG
【上野】教育学を通して培ったアグネスさんの教育法は適切だったと言えますか?
【アグネス】少なくとも私は教育学を学んでよかったと思っています。児童心理を理解したら、たとえば自己肯定力をアップさせるために必要なポイントは何かといったことが浮かび上がってくるし、試してみて「これは確かに効くな」と実感することもたくさんありました。
【上野】自己肯定力をアップさせるためにはどうすればいいのですか?
【アグネス】まずは他の子どもと比べないことです。その子をありのままで受け止め、限りない愛情をそそぐことです。できない事を指敵するのではなく、できたことをほめます。子どもに自分は価値ある存在と自覚させて、自信をつけて、成長志向を育てることです。

