政治の世界に戻ってほしいという声にどう応えるか
【塾生A】先日のABEMAの番組(「NewsBAR橋下」)での若手議員との議論を大変興味深く拝見しました。なにより塾長が楽しそうにされていたのが印象的でした。彼ら30代、40代の若手議員たちは、違う政党に所属していても、議論を重ねるうちにほぼ同じ意見にまとまるように思います。目指すべき方向性に差がないのであれば、彼らが新しい党を作ってもいいのではないでしょうか。
【橋下徹】番組ではあのようになりますけど、これが政治の現場ではやはり政治闘争になるんですよね。細かく見ていくと、考え方で決定的に分かれるところが出てきます。
そもそも野党議員の中には、選挙区事情で野党から立候補せざるを得なかったが、できれば自民党から立候補したかった、という人もいるでしょう。だから考え方自体は近いのかもしれません。それでも政治は、選挙に当選しなければできませんので、どうしても権力闘争になってしまうのです。
【塾生A】お返事ありがとうございます。政治の事情というものですね。もう少し国民に政治の実情が伝われば、有権者の適切な判断につながると思うのですが……。実際、多くの有権者は与野党が対立している政治の「表面」しか見えていないので、たとえば緊急事態宣言発出について野党が国会で激しく追及しているときは、その流れで「早く緊急事態宣言を出せばいいのに!」と感じてしまいます。
今の日本は政治に関する中立の度が過ぎるのかなと思います。教育の中に「政治とは何か」というものを盛り込むべきと思います。
【橋下徹】同感です。
【塾生A】ありがとうございます。あとは具体的なアクションプランになりますが、ここでいつもつまずいてしまいますね。政治の教育が必要というより、かつての「覚える教育」から「考える教育」に変わっていけば、自ずと表面ではなく背景というものが見えてくるのではなかろうかと。自省を込めて言えば、ここで議論されるのは正論であろうと思いますが、そうした正論を言うよりも、正論をどうやって多くの人に受け入れてもらえるかということが重要だと今は感じています。
その意味で、塾長が政治の世界に戻ることを期待する人はたいへん多いですよね。僕自身、そこに期待する気持ちはよく分かります。ただ、塾長は現在のポジションでも並みの政治家以上の影響力がありますから、今のまま大活躍してほしいというのが僕の意見です。
【橋下徹】(笑)
※本稿は、オンラインサロン《橋下徹の激辛政治経済ゼミ》における塾長・橋下徹と塾生との最近の議論の中から、一部を抜粋し、編集部の責任で再構成したものです。《橋下徹の激辛政治経済ゼミ》では、いつもこのような活発な議論が展開されています。橋下徹と議論してみたい! という方はぜひご入会ください。