3分の1の企業で1年以内に「現状の雇用を維持できなくなる」

調査したのは2020年10月初頭だが、コロナの第3波がまだ到達していなかったこの時点で削減実施の企業を含めて2割弱(18.0%)の企業で半年以内に、また3分の1(33.6%)の企業で1年以内に「現状の雇用を維持できなくなる」と見込んでいる。もちろんこうした企業はすでに雇調金を受け取っている企業も多いだろう。それでも企業の体力に限界はある。

産業別に雇用維持できる期間を確認しよう。最も短いのは「飲食・宿泊業」だ。4割以上(43.0%)の企業で雇用維持できるのは「半年以内」、7割(70.3%)の企業で「1年以内」と答えている。

オフィスで上司に叱責される女性のシルエット
写真=iStock.com/DragonImages
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以下、雇用を維持できる期間が半年以内と答えた産業別の割合は以下の通りだ(カッコ内は1年以内)。

飲食・宿泊業 43.0%(70.3%)
製造業 23.7%(40.6%)
サービス業 19.6%(39.0%)
卸売業 17.8%(32.2%)
小売業 15.3%(29.5%)
情報通信業 13.3%(28.3%)
運輸業 12.8%(30.6%)
建設業 12.3%(26.1%)

しかもこの数字はコロナ新規感染者数が比較的落ち着いていた2020年10月初めの時点の各社の見込みだ。その後、感染拡大が進み、緊急事態宣言の再発出されることは想定していない。今回の緊急事態宣言の直撃を受ける飲食・宿泊業が雇用維持できる期間がさらに早まるのは確実だろう。

感染収束しなければ多くの産業で前倒しのリストラの公算が大きい

もちろん他の産業も例外ではない。

緊急事態宣言がさらに長期化する、あるいは感染が収束しなければ、それを引き金に多くの産業で前倒しのリストラに踏み切る公算が大きい。

同時に産業の再編も起こる可能性も高い。建設業の人事部長はこう予測する。

「かつて多くの都銀があったが再編され現在に至っているように建設業界も今後は再編へと向かって行かざるを得ないと思う。たとえば住宅建設は大手8社のシェアはわずか20%台であり、いわゆる個人事業主(一人親方)や地域の工務店などが圧倒的に多いのが特徴。しかも人口減で後継者がなく、廃業する企業も年々増えている。収益構造を考えれば、ゼネコン同様に業界再編成へと向かうだろう」

産業再編による合併などが発生すれば、さらに余剰人員が増え、大機規なリストラが避けられない。

こうした労働環境の悪化は、他の業種にも多かれ少なかれ波及するのではないか。とすれば、政府は“失業なき労働移動”をいかに実現していくのか。動きの遅い感染対策に終始する政府ははたして国民の生命と財産(収入)を守ることができるのだろうか。

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