コロナ禍の2021年、会社員の懐がますます寂しくなる。人事ジャーナリストの溝上憲文氏は「企業の規模を問わず、人事部はこれまでの年功的給与体系から結果を残さない者を容赦なく減給・降格させることが可能なジョブ型人事制度導入の動きを活発化させています」という。そうした厳しい状況下でも「給与が上がる人」の鉄板の3つの法則とは何か——。
ビジネスマンの様々な姿勢と動き
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2021年の給与・ボーナス減は必至……ヤバいのはその先だ

春闘の賃上げ交渉が本格的に始まっている。しかし、今年は給与だけではなくボーナスも大幅な減少が避けられない冬の時代に突入しそうだ。

2020年末のボーナスは、新型コロナウイルスの影響で2009年のリーマンショック直後以来の大幅なマイナスだった。厚生労働省の調査によると従業員1000人以上の企業の平均額は前年の86.8万円から9.64%減の78.6万円だった。2013年以来、毎年伸び続けてきたが、8年ぶりに減少に転じた。

今年は給与の減少も必至の情勢だ。

労務行政研究所が上場企業の経営側・労働組合・専門家の3者に実施した「2021年賃上げ等に関するアンケート調査」によると、全回答者平均で今年の賃上げ額は定期昇給込みで5524円、率にして1.73%となった。“官製春闘”が始まる2013年以来、8年ぶりに2%を下回るとの予測だ。

同所の予測は実際値に近いことで定評がある。2020年の予測値は2.05%だったが、実際は2.00%(厚生労働省調査)だった。

今年、昨年を下回るのはベア(ベースアップ)を実施する企業が少ないとみられているからだ。毎年一定金額ずつ上がることがルール化されている定期昇給に上乗せされるのがベアだが、今年ベアを実施する予定と回答した企業はわずか4.8%(20年16.9%)。「実施しない予定」が61.9%に上っている。

調査では夏のボーナスの全体予想についても聞いている。

「2020年夏と比べて増加する」と回答したしたのは経営側・労働側・専門家も一桁にとどまるが、減少すると回答したのは経営側33.8%、労働側41.3%、専門家62.1%。下がるにしても労働組合側のほうが厳しい見方をしている。減少率の予測については経営側・労働側ともに「10~20%未満」が最も多い。

ちなみに2020年夏の平均ボーナス額は82.8万円(厚労省調査)。10%減なら74.5万円、20%減なら66.2万円と大幅に低下する。

業績の悪化やテレワーク導入で残業代で稼ぐことがほぼ不可能

毎月の給与やボーナスが減少するのは確実な状況であるが、すでに足下の給与もジリジリと下がっている。

給与はコロナ下の2020年4月以降から減少に転じ、同年の月額平均給与は前年比1.1%減の33万7367円(パートを除く)。これにボーナスなどを加えた現金給与総額は41万7330円。前年比1.7%の減少となった(厚労省「毎月勤労統計調査」速報)。

給与のうち最も減少幅が大きいのが残業代のマイナス12.4%だ。業績の悪化やテレワークの導入によって残業代で稼ぐことがほぼ不可能な状況になっている。

今後さらに給与がダウンすれば生活も苦しくなる。ちなみに食料費や住居費などの生計費や、税金・社会保険料の負担は年々増している。

例えば、さいたま市の4人世帯の標準生計費は28万6700円。これに税・社会保険料を加えると40万4384円になる(2020年4月、都道府県人事委員会調査)。前出のボーナスを含む平均月額給与の41.7万円だとカツカツの生活を強いられることになる。